中米グアテマラは、なぜ「安全な第三国」になったのか? トランプの恫喝に従わざるを得ない小国の悩み

なぜモラレス大統領は危険な合意を結んだのか?

 コメディアン出身で政治の素人だったジミー・モラレス大統領が、なぜこのような国家にとって危険な合意を米国と結んだのか? そこには自国民の米国への移民を容易にするという意図があった。 「安全な第三国」になるのと交換で米国はグアテマラ人の米国への移民に対してビザを発給して米国で一時的に労働を容易にするという取り決めをしたのである。先ず、その対象として農業関係での労働、そのあと建設業やサービス業にもそれを広げるとした。(参照:「BBC」、「El pais」)  現在米国には120万人のグアテマラ人が在住しているという。その一方で、今年も既に7月の時点で31424人が米国から送還された。昨年は1年間で30138人だった。グアテマラが「安全な第三国」となって、この面でもグアテマラからの不法移民に対し緩和が見られるかもしれない。両国の取り決めにはここまでの詳細は表面化されていない。(参照:「El Periodico」)

モラレスの決断は「独断専行」

 また、モラレス大統領の任期は来年1月で終了する。その為、今後の人気を気にせずに思い切った決断を下せるということもある。それとは反対に8月11日の次期大統領選挙を控えて勝利の確率が高いサンドラ・トッレス候補は「国民に背を向けて秘密裏に交渉するのはもう十分だ。グアテマラ人の未来を拘束させるようなことは取り決めないで欲しい」と述べて、モラレス大統領の米国とのこれまでの外交を批判している。  同様に前回の大統領選候補だったマンフレッド・マロキンは「モラレス政権下で米国に移民しようとする人が2倍に増えた。そして今、彼の政権終了間際になってグアテマラ移民を合法化させて、その代わり我々の国土を(米国に)手渡そうとしている」と述べてモラレス政権を批判した。  中米の3か国グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルから米国へ移民しようとする人たちが絶たないのも国は貧困で暴力が横行しているからである。それはグアテマラも同様である。  この合意への批判は外相経験者のエドガー・グティエレスからも聞かれた。彼は「今回の合意は憲法の規定を冒とくするものだ」と指摘して、「どのような内容に署名したのか99.9%のグアテマラ市民が知らない」「国家機密でないのに、そうであるかのような扱いだった」「モラレスが何を約束したのか我々は知らないでいる」と述べて、つんぼ桟敷に置かれていることに不満を表明し「立法議会に対して重大な侵害を政府は犯している」と指摘した。(参照:「El pais」)
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背景には「トランプの脅し」も
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