Photo by Anusak Laowilas/NurPhoto via Getty Images
先月7月1日、日本代表前監督の西野朗氏がタイ代表監督就任……と、タイのサッカー協会が契約前にフライング発表をしてしまい、あわや白紙かと思われたが(参照:
HBOL)、タイ人の熱意と交渉力もあってか、無事、西野氏は正式に契約を結んだ。
これによって、タイのサッカーは大きく飛躍することは間違いない。ワールドカップ出場も現実的に考えてもよさそうなところにまで来たとも言える。タイ・サッカー協会も元より采配の権限はすべて西野氏に委ねると言っており、西野氏も大いに活躍できそうである。
ただ、サッカーでは、一般的には監督になる人はコーチ陣などは戦略や指導の理解が深い「自身のスタッフ」ともいえる人たちを据えることが多いという。しかし、西野氏は日本から誰も連れて行かず、身ひとつでタイに乗り込む。
タイ協会側はすべてを西野氏に委ねるということで、スタンスとしてはそれでも問題はないとはしている。一方で、そうなると逆に懸念されるのは、協会自体がそのスタンスをいつまで維持するか、という問題点を指摘する声も出てきている。
日本語がからきしなサッカー協会の間に立つことになると見られる、タイサッカー協会に籍を置く白木庸平氏はこう言う。ちなみに、白木氏はタイの女子サッカー代表チームでメディカルトレーナーを務めた経緯もあり、協会からの信頼も厚い。
「フライング発表があったこともあり、協会側は今現在こそ西野監督がやりたいことをすべてやらせてくれると思います。でも、タイ・サッカーではよくあるのですが、協会側がのちのち口出しをしてくるようになるかもしれません。つまり、西野監督の課題はタイ代表の育成だけでなく、監督のサッカーとタイ式サッカー、協会の言い分・やり方にどう折り合いをつけていくかになるかもしれないのです」
タイのプロリーグでも、
ベンチにクラブチームのオーナーが入り、監督よりも先に口を出し、そしてそれが優先されるということは日常茶飯事なのがタイ式サッカーでもある。この先、協会が黙っているのかどうか、そのときになってみないとわからないのだ。