降り注ぐ不幸で引きこもりに。それでもまだ前を向こうと足掻く30代女性の思い
この10年で少しずつではあるが、現状と課題が可視化されてきた引きこもり問題。引きこもり中年の実情に迫るべく、当事者たちの声を拾い、現状をリポートしていく。
小田原春美さん(仮名・35歳)は幼少期から不幸が続き、引きこもりと社会復帰を重ねてきた女性だ。
「小学校のときは暴力を振るわれたり、万引してこいって言われたりして、不登校になりました。中学では、バドミントン部の先輩全員から無視されて円形脱毛症ができて。高校でもいじめに遭いました」
悲しい経験を経ても復学した小田原さんに、より無慈悲な事件が。
「高2のときなんですけど、路上でいきなりワンボックスカーに押し込まれて拉致されたんです。事が済んだ後、幸い命までは取られずに解放されました。でも、親にも警察にも言えなくて……。それ以来、外に出るのが怖くて学校に行けず、難聴にもなりました」
それでもなんとか大学への進学を果たす。しかし、新しい友人や彼氏ができるも平穏は続かなかった。
「誰にでもいい顔をする私も悪かったと思うのですが、友人とトラブルになって休学。学校に行こうとすると玄関で吐き気と震えが止まらなくて。友達もいないし仕方ないので、部屋で窓ガラス相手に会話して過ごしてました(笑)」
大学中退後は飲食業で働くことに。ここでもトラブルが続く。
「とある大人気の屋台のスタッフをしていたんですが、お客さんの大行列を前にトイレにも行けず、その場で漏らしてしまったんです」
転職後、1年ほど休職して引きこもっているという小田原さん。
降り注ぐあまたの不幸にも負けず前を向き続ける
「誰にでもいい顔をする」ことが招いたトラブル
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