グラドル界をとりまく環境の変化。倉持由香が考える多様性「サラリーマン文化時評」#12

グラビア界をとりまく環境

真実:「倉持さんの頑張りの集大成が、一昨年の『週刊プレイボーイ』の表紙だったわけですが、あれで燃えつきた、ということはないですか?」 倉持:「グラビアに対しては確かに『もう私のやりたいグラビアはやり切ったな』というのがありますね。あれ以降は、グラビアの仕事はあんまり受けていないというか。『プレイボーイ』で限界まで露出もしたので、これ以上は脱げない、というのもあるので。  今後は裏方に回りたいです。ちょうど事務所がeスポーツ事業部を立ち上げたので、ゲームの仕事ができる女性タレント・チームのプロデューサーをやることになりました」 真実:「倉持さんが裏方にいったあとのグラビアアイドル界は、今後どうなっていくと思いますか?」 倉持:「いまはコスプレイヤーが人気なので、生粋のグラドルはつらいですね。それでも6年くらい前と比べれば全然ましになったと思います」 真実:「でも、グラビアを載せる雑誌は相当減ってしまいました」 倉持:「雑誌は、オリンピックに向けてグラビアを残すのかどうか微妙な状況ですよね。私は紙媒体が好きなので、できれば残してほしいけど、グラドルも今後はネットが中心になるのかもしれませんね。  自分も360チャンネルというVR動画配信サービスで冠番組をプロデュースさせていただいて、グラドルのコたちに出てもらったりして、とにかくグラドルのコがメディアに出る機会を作るという動きをしてます」 真実:「アベマTVにはグラドルが沢山出ている印象があります」 倉持:「AbemaTVはエロがNGになってしまって、グラドルが出にくくなってしまったんですよ。過去には私もレギュラーで出させて頂いてたんですけど、規制が入って番組が終わってしまって。水着姿とかにも厳しいので、今はグラドルはほとんどAbemaTVに出てないかもしれないですね。私も出るときはいつも服を着るようになりました」

グラドルのあり方にも変化が

真実:「時代の要請ですよね。僕もこれまでグラドル評論をいろんな媒体に書いてきて、グラドルのビジュアルをいろんな言葉で表現してきたんですが、この数年はもう意識的にやってないんです。  例えば『美人過ぎる〇〇』と書いても、見た目で人を判断してはいけない、と批判される。見た目のことを書くとルッキズムになってしまうんです。だから今は、グラドルのInstagramを過去までたどって読んで、その人の努力していることや内面について書いて、見た目になるべく触れない。そうすると本人には喜んで貰えるんですが、グラビアとしての魅力は伝えづらい。今の時代にグラドルを語るのは本当に難しいです」 倉持:「グラドルには窮屈な時代なのかもしれませんね。昔は夏になったらグラドルの水着のCMとか結構あったのに、いまは企業さんがグラドルを使うこと自体が減っていますよね。だから私の場合は、ゲームとか競馬とか、意識的に別のジャンルも手を広げています」 真実:「いろんな能力の掛け算で勝負する時代になる、というのはサラリーマンも同じですね。1万人の会社でトップを目指すよりも、100人の中の1番になれることを3つ持てば10万人に1人の人材になれる、という」 倉持:「昔はグラビアからタレントに、という出世ルートがある感じだったんですけど、今はグラビアアイドルをするためには別のことで目立つのが売れる条件みたいになってきています」 真実:「倉持さんの場合は、著書に書かれているノウハウをいかして、ぜひ『グラドル兼プロデューサー』『グラドル兼SNSマーケター』として、企業相手の仕事がたくさん増えるといいですよね」 倉持:「講演の仕事がいっぱい来るように頑張ります!」 <取材・文/真実一郎 撮影/荒熊流星> 【倉持由香(くらもち・ゆか)】 グラビアアイドル、女優。自称「尻職人」。‘14年からは「グラドル自画撮り部」と称してSNS上で自らの写真をアップしていく活動を開始。グラビアアイドルたちの支持を集めて話題となる。著書に『グラビアアイドルの仕事論 打算と反骨のSNSプロデュース術』(星海社)がある
サラリーマン、ブロガー。雑誌『週刊SPA!』、ウェブメディア「ハーバービジネスオンライン」などにて漫画、世相、アイドルを分析するコラムを連載。著書に『サラリーマン漫画の戦後史』(新書y)がある
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