真実:「著書に『自分に合ったSNSを選ぶ』と書いてありますが、倉持さんはTwitterの使い方が抜群に上手い一方で、Instagramは苦手だとおっしゃっていましたよね」
倉持:「今も苦手です。何を載せたらいいのか全然わかんなくて……。『食べたものを載せればいいんだよ』と言われても、普段食べているものが富士そばなので、富士そばにフィルターかけて載せたら『いいね』があんまりこなくて(笑)。どうしたらいいんだろう。おしゃれなものが載せられなくて」
真実:「でも、今年になってからInstagramのフォロワー数が急増しています。あれはどうしてですか?」
倉持:「そうなんです。最近出演したフジテレビの『#ミレニアガール』という番組で、藤田ニコルちゃんに『インスタをどうしたらいいのかわからない』と相談したら『このお尻の写真いいじゃん、お尻の写真だけ載せたほうがいいよ』とアドバイスをもらって。『インスタ映えなんて気にしなくていいよ、これが映えてるから』って。それでもう振り切って“尻スタグラム”にしたら、めちゃくちゃフォロワーが増えたんです」
真実:「なるほど、忖度せずに自分の得意な領域に振り切ったんですね。あと、最近はいろんな国の言葉でタグ付けしていますよね。あれも効果があったのでは」
倉持:「あれは同じ事務所の麻倉ひな子ちゃんから教わりました。実はグラドルのInstagramのフォロワーって海外の方がスゴく多いんですよ」
真実:「海外、特にアジアでは、グラビアアイドルという文化ってないっていいますからね」
倉持:「中国語とかタイ語とか、いろんな国のハッシュタグをつけたほうがいいよ、というアドバイスをもらって、一気に増えました。海外の方がグラドルをフォローするという風潮があるおかげで、グラドルのInstagramのフォロワーってかなり多いんですよ。天木じゅんちゃんが100万フォロワーとか。でも難しいのは、海外のフォロワーが増えても、イベントの集客に結びつけにくいんですよね」
真実:「TwitterとInstagramはどう使いわけているんですか? 例えばインフルエンサーとしての小嶋陽菜さんは、TwitterはAKB時代のファンを中心とした男性向け、InstagramとYouTubeは完全に女性向け、と明確に使いわけています」
倉持:「Instagramはもう迷いは無くて、タピオカとかオシャレカフェとか、女性受けを狙った情報は一切載せずに『尻』だけ。だからフォロワーの中で女性の比率は4%程度ですね。グラビアコンテンツとしてクオリティの高いものを作ろう、という思いでやっています。Twitterはもうちょっと自分のプライベートなこととかゲームのことを発信したりしています」
真実:「Instagramは、フォロワーが多くてもYouTubeのように広告費が入るわけではないので、インフルエンサーはPR投稿をするのが収入源になっていたりするんですよね」
倉持:「女性ファンが多いインスタグラマーの方だと、化粧品とかを『これ使っています』という感じ投稿してお金になるけど、グラビアの場合は男性ファンが多いから、何を宣伝すればいいのかわからなくて、企業案件も来にくいかもしれないですね。
だから私は、SHARPのホットクックみたいに、自分が本当に気に入ったものはスポンサードしてもらわなくても呟き続けています。
あと、海外で撮影会とか出来たらいいのかな。せっかく海外でInstagramのフォロワーさんが増えているので」
<取材・文/真実一郎 撮影/荒熊流星>
【倉持由香(くらもち・ゆか)】
グラビアアイドル、女優。自称「尻職人」。‘14年からは「グラドル自画撮り部」と称してSNS上で自らの写真をアップしていく活動を開始。グラビアアイドルたちの支持を集めて話題となる。著書に『
グラビアアイドルの仕事論 打算と反骨のSNSプロデュース術』(星海社)がある
サラリーマン、ブロガー。雑誌『週刊SPA!』、ウェブメディア「ハーバービジネスオンライン」などにて漫画、世相、アイドルを分析するコラムを連載。著書に『サラリーマン漫画の戦後史』(新書y)がある