「申し訳ありませんが、私たちの銀行では、このお金が合法的なものであるという証明がなされない限りは、お預かりすることができません」
言うまでもなく、筆者の収入は書籍の印税・こういった記事の原稿料・民泊の売り上げが主なものであり、全て合法なものである。まあ、別に急いでいるわけでもなく、帰国してから印税の支払い明細を送ればいいや、と思いそれ以上は追及しなかった。
そういえば、ATMカードはどうなるのだろう?
「来週金曜日に、こちらの店頭まで取りにきてください」
「すみません、私今日にはホーチミンへ移動して、二日後には日本へ帰るのですが……」
「それなら、またお越しになるときに、ご一報ください。カードの用意ができてから二週間以内に来られない場合は、カードは無効になります」
そう言いつつ、この女性行員は筆者の名前と口座番号が記入された紙を渡してくれた。時間にして30分少々で、あっさりと口座ができた。
国営系のBIDVよりSCBやTIMOのほうが楽!?
もっとも、口座ができてもそこに預け入れができて利子がつかなければ意味がない。だが、とにもかくにも口座はできた。帰国後、ベトナム渡航前に会った、ブログ「20代・資産1500万円でセミリタイアしベトナムで暮らしています」管理人の宮内氏にこのことを報告した。
2014年からベトナムで暮らし、現在は年に三、四か月だけ日本で働き、二十代のときに貯めた一千万円超の預金をベトナムの銀行に預け、その利子と合わせホーチミン市でセミリタイアをしている人物だ。
すると、宮内氏からは次のような返答があった。
「BIDVは国営系なのでルールが厳しいようです。SCBやTIMOなら日本と同様に預金できるのですが……。このあたりの事情もお伝えするべきでしたね」
ただ、筆者の帰国後ベトナムで大きな変化があった。これは宮内氏の今後の人生設計をも大きく変えうる大事件である。
次回は、それについての報告をしたい。
<文・タカ大丸>
ジャーナリスト、TVリポーター、英語同時通訳・スペイン語通訳者。ニューヨーク州立大学ポツダム校とテル・アヴィヴ大学で政治学を専攻。’10年10月のチリ鉱山落盤事故作業員救出の際にはスペイン語通訳として民放各局から依頼が殺到。2015年3月発売の『
ジョコビッチの生まれ変わる食事』は15万部を突破し、現在新装版が発売。最新の訳書に「
ナダル・ノート すべては訓練次第」(東邦出版)。10月に初の単著『
貧困脱出マニュアル』(飛鳥新社)を上梓。 雑誌「月刊VOICE」「プレジデント」などで執筆するほか、テレビ朝日「たけしのTVタックル」「たけしの超常現象Xファイル」TBS「水曜日のダウンタウン」などテレビ出演も多数。