地球温暖化でサンゴ礁の99%が死滅する!? 私たちにできる対策とは

化粧品の成分もサンゴ礁に悪影響

 国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)リサーチ・フェローのイヴォーン・ユー氏は、日本のメディアがもっとサンゴ礁の危機について取り上げるべきだと述べた。 「『チェイシング・コーラル―消えゆくサンゴ礁―』はネット配信だが、なぜ地上波でやらないのかと感じる。また、日本の海の調査をし、その現状をニュースとしてもっと報道していくべきだと思います」  また、「海外では海に潜る際にエチケットがあり、サンゴ礁を踏んで傷つけないように注意している。また、女性が使う化粧品の成分は、サンゴ礁に悪影響を与えると言われている。ダイビングのエチケットを守り、貴重な生態系を守ろうとする配慮が大事」と強調した。  マリン好きには人気アクティビティであるダイビング。だが、綺麗な写真を撮ろうとするあまり、サンゴ礁を傷つけるような行為は慎むべきだ。海が好きだからこそ海を守る。サンゴ礁を保全する。このような意識を持つことが求められる。

日本ではプラスチックフリーがなかなか進まない

 最近では地球温暖化による気候変動のみならず、海洋プラスチック問題もまた、サンゴ礁の生態系に影響していることが分かったという。 「海外ではプラスチックフリーが進んでいて、環境問題に配慮した紙のストローなどが日本よりも普及している。サスティナブルな考えのもと、人間の廃棄物がどれだけ海の生態系に影響が及ぶか問題視することが大切。まずは身近なことから環境に配慮した行動を意識したり、自分ごととして環境問題を捉えたりすることが。一人ひとりの意識が変われば、それが好循環を生み、問題解決の糸口がつかめる」とイヴォーン・ユー氏。  日本はなぜプラスチックフリーが進まないのか。それは日本人特有の潔癖主義が関係しているという。衛生に対する意識が過敏するがゆえ、無駄に包装をする傾向があるとのことだ。  脱プラスチックに向け、日本でも局所的には動きが見られる。しかし、今後さらにプラスチックフリーを推進する必要がありそうだ。  地球環境に配慮した形で、日頃の行動や暮らしの中で、何ができるのか。環境と共生できるのか。産業革命の弊害による気候変動や、生態系への悪影響によって起こるサンゴ礁の消えゆく実態。  この深刻な事態をドキュメンタリーで表現した映画「チェイシング・コーラル―消えゆくサンゴ礁―」は、1人の地球人(コスモポリタン)として環境問題を見つめ直すいい機会なのではないだろうか。 <取材・文/古田島大介>
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会