しかしである。
自民党は、正確には尾立氏の後ろ盾でもある二階派は、今回のパチンコ業界の選挙戦を一定程度評価しているという声が漏れ聞こえている。以下は、パチンコ業界誌
「GreenBelt」のweb版から引用してみよう。
“東京都遊技業協同組合(阿部恭久理事長)の7月定例理事会が7月25日、遊技会館で開かれ、先の参議院議員選挙に出馬した尾立源幸氏が姿を見せ、選挙応援に対するお礼と、落選のお詫びを述べた。(筆者中略)理事会では阿部理事長が、選挙後に後援会役員と自民党本部を訪れたことを報告し、「幹事長からは半年足らずの期間で、もう少しのところまで善戦したとの労いの言葉をいただいた。今回の結果を真摯に受け止めて、これから自民党との関係を築いていくことを進めていきたい」と述べた。”(出典:
WEB GreenBelt 7月25日)
この阿部理事長とは、パチンコ業界の最大規模の団体である
全日本遊技事業協同組合連合会の理事長であり、おだち源幸氏の後援会の会長でもある。自民党幹事長がその阿部氏にかけた言葉は、単なるリップサービスなのだろうか。それとも言葉通りの意味が込められているのだろうか。
同Webサイトの記事では、「また阿部理事長は、早期の自民党風営法議連の会合を要望し、4月に議連が出した提言書に対する対応について警察行政から回答してもらうよう求めていることを報告した」とある。これは、あくまで業界側の要望であって、記事には幹事長の返答は言及されていない。
この「4月に議連が出した提言書」とは、自民党の「時代に適した風営法を求める議員連盟」(以下、風営法議連)が、4月25日に、国家公安委員長宛に提出した提言書であり、そこには、遊技機型式試験の適合率の向上や、遊技機のゲーム性、エンターテイメント性の向上にも配慮した開発環境の整備、更にはパチンコホール内に設置されたATM撤去に関する配慮を求める等、パチンコ業界は自民党に上程した内容が多く含まれている。その提言に対する警察行政からの返答を自民党に求めたというのだから、
パチンコ業界は、まだ「政治」を諦めていないのだ。
3年後の参議院選挙。パチンコ業界の再チャレンジはあるのか。
不屈の想いで政治に未来を託す人もいれば、今回の尾立氏の落選で想いの踵を返した人もいる。そもそもの反対派や無関心層もいる。先の3年間を俯瞰すれば、旧規則機の一斉撤去やホールの全面禁煙化、消費税増税と多事多難でもある。そもそも3年後のパチンコ業界に、選挙戦を構える体力があるのかも分からない。業界は、相も変わらず混沌としているのだ。
本稿の最後に。
自民党の風営法議連は、パチンコホール関係者を対象とした、プロジェクトチーム会議を8月にも開催するらしい。これが現時点における、自民党の回答であろうということを付記しておく。
<取材・文/安達夕>