仕事の指示や依頼が行き届かない……。問題は上司や先輩側にあった

 筆者がビジネススキルを向上させる能力開発プログラムの演習を実施していて寄せられる質問に、「指示しても反発される」というものがある。上司が部下に、先輩が後輩に、前工程の担い手が後工程の担い手に、指示や依頼をすると嫌がられるというのだ。

部下や後輩に指示をしても反発される

photo via Pexels

「他で手一杯でできません」「それ、私がやるのですか」「他の人に頼んでいただけますか」という明らかな断り文句もあれば、「はあ」「そうですか」「一応わかりました」という生返事に接することもあるという。  中には、「わかりました」「承知しました」という返事を受けていながら、指示したり依頼した内容について、何も進捗していなかったという事例もある。指示や依頼が行き届いていないで、見せかけのまま放置されてしまったわけだ。  さまざまな企業で各層のビジネスパーソンと演習をしていて、こうしたケースの発生が月を経る毎に増えているように思えてならない。業務上の指示や依頼がスムーズに行き届かなければ業務の進捗に支障が生じる。この問題を解決するにはどうしたらよいのであろうか。

指示を重ねれば重ねるほど実行度が低下

 このように申し上げると、「プライベートな時間や、時間外のことならいざしらず、業務上の指示や依頼なのだから、従わないほうが問題だ」「最近の若者は勝手すぎる。指示や依頼をされたら素直に受けるというビジネス行動がなっていない」「指示や依頼を受けるということは、ビジネスパーソンの基本だ。それができていないならば、やめてしまえばよい」という声が挙がってくる。  しかし、指示や依頼に従わないから、「指示や依頼を繰り返す」「必ず実施しろ」と念押しする、「なぜやらない」と理由を追求して「絶対やれ」と強調したりすればするほど、相手は指示や依頼に従って実行しようとするかといえば、まったく逆効果で、まずます実行されなくなってしまう。  そして、人間関係に亀裂が生じ、指示する側は「もう君には頼まない」という状態になってしまい、素直に指示や依頼に従う人にばかり仕事が集中するということになってしまう。指示される側からは、「あの人は苦手だから、できるだけ近寄らないようにしよう」という感覚が沸き上がる。こういう事例が山ほどある。
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問題は上司のほうにあった
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