<まんが/榎本まみ>
離婚調停の席上、家裁での試行的面接交流の実施について問われ、妻は、「子どもが彼を嫌がっているので無理です」と述べた。それに対し、家裁調査官は、
「騙して連れて来ればいい」
と述べた。私は、耳を疑い、「騙して、ですか?」と訊いた。
すると、男性調停員は、「(連れてきた後は)任せて下さい。私たちは、専門家ですから」と述べた。
私は、驚きの余り、言葉を失った。この方たちは、何の専門家か。まさか、騙して連れてきて面会させる専門家ではないだろう。
試行的面会交流:同居親が面会交流に疑問を持った場合などに、家庭裁判所にて試験的に行う面会交流。主に、面会に反対する同居親の説得ために実施される。
一般的に、子の面前で妻に対するモラ(面前モラ)が繰り返されると、子は、トラウマを負い、父に対する恐怖心をもつ。この恐怖心は、同居時には封印されていることが多い。子は、別居して、「安全な」環境になると、父に対する恐怖心を語り始める。
考えてみて欲しい。大人でさえ、同僚が上司から叱責されるだけでもトラウマを負うことがある。
(
参照:MSDマニュアル家庭版)
同僚が上司のパワハラを受け続け、うつ症状になり、法律相談に来る事例は、決して稀ではない。同僚へのパワハラが続き、退職する事例も多い。大人であっても、身近な者が叱責を受ければトラウマを負うのである。
幼い子にとって、父親は、「社員にとっての上司」以上に絶対的存在であり、成人男性の叱責は恐怖の対象でしかないだろう。
しかも、叱責されているのが子の強い愛着対象である母親であれば、子は、より一層傷つく。面前モラがあると、子が泣き叫んだり、父親を止めに入ったりすることがある。さらに繰り返されると、子は、無表情で何もなかったように振る舞う。ここまで来ると、事態は深刻である。
小児精神科医の友田明美氏は、面前DV・モラにより、子の脳が損傷し、視覚野が萎縮すると警告している。(
参考)