さらにUAゼンセンは2018年9月、外食・タクシー・介護業界などで働く人を対象に実施した調査の結果を発表。3万396人のうち73.8%が「迷惑行為に遭遇したことがある」と回答した。
「『あんたブサイク!麻薬やってるやろ!』訪問すると麻薬!麻薬!と言われます。もちろん麻薬はやっていないのに、毎回言われるので訪問前は胃がきりきり痛みます」(介護)
「オレは市長と仲が良いから、おまえなんかいつでも辞めさせる事が出来るんだ!と繰り返し怒鳴られた」(医療)
「通行禁止道路への通行強要。断ると『殺したろか』と言われた」(タクシー)
また飲食店でも、セクハラや過剰なクレームが相次いでいるようだ。
「サラダバーに小バエが飛んでいたという理由で6時間以上の拘束」(外食)
「顧客が車のシートに持ち帰りした天丼のタレがこぼれたという理由で洗浄代2万円を要求してきた」(外食)
「レジにて接客中、顧客から『いっぱい食べて夜がんばらなくちゃ…』『昨夜もがんばっちゃって2回、3回…』『あなたとなら何回がんばれるかな…』など言われた」(弁当)
国民民主党は「悪質クレーム対策推進法案」の制定を掲げる
こうした被害を防ぐためには、どのような取り組みが有効なのか。国際労働機関(ILO)は今年6月、職場等での暴力やハラスメントを禁止する初の国際条約を採択した。この条約は、顧客やサービスの利用者、患者等の第三者がハラスメントに関与する場合があること認めている。これを日本政府が批准し、条約に沿った国内法を整備すれば、カスタマー・ハラスメントへの対策が一歩前進するはずだ。
また、国政レベルでも、この問題に取り組もうという動きが出ている。国民民主党は今年2月、「悪質クレーム対策推進法案」を党の総務会で了承。企業に対策マニュアルの作成を求め、政府には悪質クレームの実態調査を行うこと、消費者向けの啓発活動をすることを要求する内容の法案だ。
同党から参院選に立候補した田村まみさんもカスハラの問題に積極的に取り組む。自身がイオンで働いてきた経験から、カスハラの深刻さを実感しているからだ。「店内、売り場は私たちの職場です。カスタマー・ハラスメントは職場でのハラスメントに他なりません。必ず法規制を実現します」と意気込みを見せた。
<取材・文/HBO編集部>