客からの悪質クレーム「カスハラ」はれっきとした犯罪。「レジを蹴るだけで暴行罪になる可能性も」

「悪質クレーム、許さない」、UAゼンセンが啓発動画を公開

 顧客から従業員への過剰なクレームや迷惑行為である「カスタマー・ハラスメント」(カスハラ)。社会問題となって久しいが、法規制や対策はなかなか進まないのが現状だ。  そうした中、流通業やサービス業の労働組合が加盟する「UAゼンセン」は今年6月、「悪質クレームを、許さない」という啓発動画を公開した。スーパーで女性の店員を怒鳴り散らすクレーマーの行為は、犯罪に当たる可能性があると啓発する内容になっている。

「惣菜の価格を確認しに行こうとして3時間説教された」

 UAゼンセンは2017年、小売店や百貨店などの流通部門で働く人を対象に実施した調査の結果を発表した。回答した5万878人のうち73.9%の人が「業務中に来店客からの迷惑行為に遭遇したことがある」と答えた。  迷惑行為の内容は、「暴言」が27.5%で最も多く、「何回も同じ内容を繰り返すクレーム」が16.3%。他にも、威嚇・脅迫が14.8%、長時間拘束が11.1%、セクハラ行為が5.7%となっている。  具体的にはどのような被害にあっているのか。アンケートには、次のような回答が寄せられた。 「商品の在庫を尋ねられ、在庫が無い旨お伝えしたところ、『売る気がないんか、私が店長だったらお前なんか首にするぞ』と延々怒られました」 「惣菜の価格が間違っていると言われ確認に行こうとしたら、待たせるなと怒鳴られ3時間説教され続けました」 「『電話番号教えて、外で仕事終わるのを待っている。ご飯行こう』など、2年ほど同じお客さまから言われ続けていますが、お断りし続けています」 「酔った客に、ここで酒を飲むからコップをよこせと言われ、店内での飲酒をお断りしたところ、大騒ぎし、殴られそうになったので手をつかんだら蹴られました」  UAゼンセンの松﨑基憲(もとのり)弁護士は、こうした行為が犯罪に該当すると指摘する。 「金品の要求は恐喝罪に当たりますし、土下座を強要すれば、強要罪に当たります。また、直接体に触れなくても、店員に向かってレジを蹴るだけで暴行罪になる可能性があります。さらに長時間に渡り店員にクレームを入れることで業務が滞ったり、周囲のお客さんがお店に対して嫌な感情を抱いたりすれば、威力業務妨害罪に当たることもあります。以前、店員に土下座させた写真をSNSに投稿した人がいましたが、この行為は名誉棄損罪に当たります」
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外食・タクシー・介護業界でも7割超が迷惑行為を経験
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