そのギリシャを引き受けることになった新民主主義党(ND)キリアコス・ミツォタキス新首相(51)のファミリーはギリシャで最も影響力のある3つのファミリーのひとつである。彼の父親コンスタンティノス・ミツォタキスは90年代に首相を歴任、姉は外相経験者。姉の息子は先月アテネの市長になっている。
キリアコスは経営学をハーバード大そして国際政治をスタンフォード大で学び、マッキンゼー社に勤務していた。2013年には自治改革大臣を歴任。彼の夫人マレヴァはアパレル企業の創業者である。(参照:「
El Mundo」)
「ミツォタキスは私の最後の期待だ。もし彼がそれに応えられないとなると、誰が出来ようか?」と語ったのは年金受給者のジオルゴスだ。
またタクシー運転手のヨルゴスは「ミツォタキス一家のことは誰もが知っている。他に選択の余地があるかい?これがギリシアにあるだけだ」と語ってPASOKの元投票者である彼は中ば諦め気味に答えたそうだ。(参照:「
Publico」)
ミツォタキスの政策の基本は減税である。法人税を2年で28%から20%に引き下げる。消費税も2%引き下げ、所得税で1万ユーロ(130万円)以下の年収者に対し22%から9%に引き下げる。また最低賃金の値上げ。また、外国からの1000億ユーロ(13兆円)の投資があることを目標にしているという。(参照:「
El Periodico」、「
El Mundo」)
ミツォタキスが提案している民営化の推進については、彼が何か秘策を持っているはずだと指摘しているのは政治評論家のディミトゥリス・ラピディスだ。チプラスも民営化を進めていたが、中途半端で終わっている。(参照:「
El Congidencial」)
ミツォタキスが期待しているのはEU委員会のメンバーが今年後半に刷新されることだ。ECBの総裁にIMFの専務理事ラガルドが就任することになっているが、彼女はギリシャの負債の返済には再編が必要だと常々主張していた。またEU委員長に就任するフォンデアライエンはユンケル委員長よりもよりセンシブルだと評価して交渉し易い相手だとミツォタキスは期待しているという。(参照:「
La Nacion」)
また、ミツォタキスの勝利に外国から最初に祝福したのは宿命的な敵とされているトルコのエルドアン大統領だったそうだ。(参照:「
ABC」)
<文/白石和幸>