朝日とLEEJ
香港市民たちの歌う賛美歌のなか、沖縄で出会った僕らは再会に握手した。
ルパンに次元、そこに五右衛門が合流したような心強さだった。
明日のことは不安で仕方なかったが、とりあえず大丈夫だ。
いや、大丈夫にしようぜ。そんな気分だった。
その時は考えもしなかったが、僕らは三者三様、異なるルーツで、まして自分だけが加害側の属性だった。
しかしながら僕らの存在や友情にルーツなど本質的に関係はない。
激動の沖縄のあの熱い空気の中で出会った、それがすべてだ。
多様性なんて言葉、はやく死語になればいい。
もう東京の価値観なんてとっくに中心じゃない。
人種も民族も飛び越え、東アジアは真新しい地平へ向かう。
僕らの友情こそがそれを体現する。
選挙権を与えられぬ在日コリアン、基地を押し付けられ選挙結果を無視されるウチナーンチュ、戦後74年間それを放置してきた日本人。
僕らはこの香港、東アジアの土地で民主主義を求めて走りまわろう。
跳ねよう。
これからの東アジアの発展を担う沖縄からの使者として。……と言ったら大袈裟すぎるだろうか、汗
再会を確かめ合う僕らの元に最悪のニュースが飛び込んできた。
ビルから落ちた抗議者が死んだ。
今回の抗議活動で初めての死者だ。
さっきのビルだ、、な、、、僕はLEEJと顔を見合わせた。
「え、それって、、、」朝日が絶句している。
朝日のカメラには死の直前のその抗議者の姿が映し出されていた。
初めての死者。その死の直前の毅然とした後ろ姿(撮影/普久原朝日)
オキナワンボーイは香港に着いて、たった数時間で歴史的な瞬間をカメラに焼き付けてしまったのだった。
情報が錯綜していた。
現場は僕らのホテルから目と鼻の先の場所だった、その時間もかなり近くにいたのだ。