トランプ大統領発言「日本はソニーのテレビで見ているだけ」
イージス・アショア配備に反対する秋田県民
秋田・山口県民の怒りが爆発しそうな問題発言が、トランプ大統領の口から飛び出した。6月26日放送の米国FOXテレビで
「もし日本が攻撃されたら、米国は第三次世界大戦を戦うが、米国が攻撃されても日本はソニーのテレビで見ているだけだ」と訴えたのだ。
米国シンクタンクの論文「太平洋の盾:巨大な“イージス駆逐艦”としての日本」
(6月28日筆者記事で紹介)にある通り、秋田と山口へのイージス・アショア配備はハワイとグアムの米軍基地を守る役割を果たし、米国本土防衛に必要なレーダー関連予算の約10億ドルの節約効果をもたらすとも見られていた。
トランプ大統領が10分前に攻撃中止命令を出したイラン攻撃では、レーダー基地も標的だったが、第三次世界大戦の際には秋田と山口に配備されたイージス・アショアが「太平洋の盾」(米国防衛前線基地)として機能、両県が先制攻撃を受けるリスクを背負うことになる。
第二次大戦で日本本土を守る“盾”(捨て石)となって沖縄と同様の甚大な犠牲を両県は強いられる恐れがあるのに、トランプ大統領に「米国本土防衛への貢献度ゼロ」と見なされたのだ。
日本は国民の税金でイージス・アショアを購入、日本の領土の一部を米国防衛前線基地として献上しようとしているのに、トランプ大統領に一顧だにされていないことが露呈した。「なぜ安倍首相は、米国シンクタンクの論文を突きつけて反論し、事実誤認を改めさせないのか」という怒りが、秋田・山口両県民に燃え広がっても不思議ではない。
秋田県知事と秋田市長に謝罪をした岩屋毅防衛大臣
米国に肝心なことを伝えない岩屋毅防衛大臣も、県民の怒りを鎮める役割を十分に果たしているとは言い難い。岩屋大臣は6月17日に秋田市を訪れ、報告書に計算ミスがあったこと、津波対策について触れていなかったこと、説明会で防衛省職員が居眠りをしていたことなど、一連の不祥事について謝罪を行った。
午前中に佐竹敬久・秋田県知事、午後からは穂積志・秋田市長に謝罪したものの、「(秋田市の)新屋演習場ありき」の方針にはまったく変わりはない。
イージス・アショア配備をゼロベースで見直す姿勢は皆無だった。佐竹知事が「マイナスからのスタートだ」と、謝罪面談後の囲み取材で怒りを露わにしたのは当然のことだった。謝罪後の会見で岩屋大臣は、謝罪したとの報告に続き、こう述べた。
「こうした事態が二度と起こらないように事務方に対して再発防止を徹底すること、緊張感を持って対応するように強く指示を出したところです。防衛省においては、原田(憲治)副大臣を長とする『イージス・アショア整備推進本部』を速やかに立ち上げたい。そこには内局、関係する陸海空の自衛隊の職員が一堂に集まって、しっかりした体制を作っていきたいと思っています。当然、最終的な責任者は私です」
この後、現地での実地調査を行うことや修正した資料を使って再説明する考えも明らかにし、「信頼を回復することができるように、防衛省全体で全力を挙げて取り組んで参りたい」と岩屋大臣は結んだ。