大阪のラブホテル料金から見る、「街の個性」<ラブホテルの地理学>
第1回では、大阪市のラブホ街を「部屋数」と「駐車場」から分類した。しかし、もう一つラブホテルにとって重要な要素がある。それは「料金」である。ラブホテルを利用する際、その料金は多くの人が気にするところであろう。第2回となる今回は、ラブホテルの「料金」に着目して、大阪市にあるそれぞれのラブホ街の個性を明らかにしていく。
ラブホテルの料金は、利用時間によって異なる上、曜日や時間帯、部屋のランクなどさまざまな条件によって変化する。はじめに、ラブホテルの複雑な料金体系について軽く説明しておこう。
料金は主に、時間、曜日、部屋のランクによって変化する。「休憩」と「宿泊」はほとんどすべてのラブホテルにあるが、それ以外のプランはラブホテルによってあったりなかったりと様々である。画像で示したプラン以外にも、会員限定のサービスや季節限定のプランなど、ラブホテルには実に多様なプランが存在する。今回は比較のため、条件を絞った上で各ラブホ街の料金を見ることにする。
まず最初は、最も安い料金プランを考えてみよう。多くのラブホテルでは、「“平日”の“昼間”に“最低ランクの部屋”で”休憩”」した場合が、最も安い料金になる。この条件で大阪市のラブホ街を比較すると、以下のようになる。
多くのラブホ街は1時間あたり2000円が平均で、高いエリアでは3000円近くになることもある。市内で最も地価が高い《難波》よりも《梅田》のほうが料金が高いのは、街の性格の違いを考えると納得がいく。《難波》は、近世以来の繁華街であり、道頓堀など庶民的な盛り場に近い街だが、《梅田》は高層ビルが立ち並ぶオフィス街である。さらに、兵庫や京都など府外からのアクセスが良いこともあって、《梅田》の料金が高くなっていると考えられる。
また、距離の近いラブホ街でも、場所によってはかなりの料金差があることが分かる。特に差が激しいのが、《天王寺》と《阿倍野》である。この両者は、天王寺駅を挟んで北と南にあるが、1時間あたりの平均料金では実に1500円近い差があるのだ。
さきほどの図では1時間あたりの料金で比較を行ったが、実際はラブホテルによって最短利用時間は異なる。休憩コースは1時間からの利用とするラブホテルが多いが、中には1時間半や2時間からの利用としているところもある。では、利用時間によってラブホ街を比較してみるとどうなるだろうか。
《梅田》では、1軒を除いてほとんどすべてが60分からの利用となっている。それに対し、《難波》では60分以外にも、90分や120分など、最短利用時間は店によって様々である。1軒だけ45分のものもあるが、多くは60分よりも長くなっている。《難波》は1時間あたりで見ると安いものの、そのぶん長時間の利用が前提とされているということだ。逆に言えば、じっくり遊ぶなら《難波》が適していると言えるだろう。
都市を彩るラブホテルを、「地図」と「統計」から読み解く本連載、
ラブホテルの料金体系は複雑
一番安いラブホ街はどこ?
じっくり遊ぶなら《難波》
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