笑顔一つで損をする場合もある!? 相手に好感を与える「正しい笑顔」のススメ
こんにちは。微表情研究者の清水建二です。みなさんの周りにいつも笑顔で良い印象を醸し出している人や逆に笑顔なのに悪い印象を醸し出している人はいませんか。周りではなく、「自分がそうだ!」と思われている方もいるかも知れません。同じ「笑顔」なのに一方は好まれ、もう一方は嫌われる。なぜそんなことが生じてしまうのでしょうか?
よくある解説が、口角のみが引き上げられ、目が笑っていない愛想笑いはあまり良い印象を与えられず、口角が引き上げられ、目尻にしわがよる真の笑顔は良い印象を与えられる、というものです。
この解説はもちろん間違いではありません。しかし、笑顔には愛想笑いと真の笑顔以外にも多くの種類があり、様々な印象を私たちに与えます。しかも、ちょっとした笑顔の違いでも大きな印象の差を生み出すことが知られています。
ここでクイズをしてみたいと思います。以下のそれぞれの笑顔にどんな印象を抱きますか?ポジティブな印象を受ける笑顔、共感的な印象を受ける笑顔、支配的な印象を受ける笑顔に分けてみて下さい。
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それでは解説です。私たちは、①と⑤の笑顔からポジティブな、②と⑥の笑顔から共感的な、③と④の笑顔から支配的な印象を受ける傾向にあります。
ポジティブな笑顔とは、ポジティブな経験や印象を伝える働きを持つ笑顔のことです。「楽しいですね。」というメッセージを伝える笑顔です。専門的には報酬的笑顔といいます。
具体的な表情は、眉が引き上げられ、口角が引き上げられる表情です。唇の端が鋭くなったり、エクボが現れることもあります。眉が引き上げられる表情によって相手に関心がある印象を、口角が引き上げられる表情によってポジティブな印象を与えます。
共感的な笑顔とは、融和的なシグナルを発し、社会的なつながりを生み出したり、維持する働きを持つ笑顔のことです。「仲良くやりましょう。」というメッセージを伝える笑顔です。専門的には親和的笑顔といいます。
具体的な表情は、口角が引き上げられ、唇がプレスされる表情です。この表情+エクボが現れることもあります。唇をプレスさせることで、武器となる歯を隠し、攻撃する意図のないことを伝えます。
支配的な笑顔とは、社会的なステータスや序列を伝える働きを持つ笑顔のことです。「私は偉いのです。」というメッセージを伝える笑顔です。専門的には支配的笑顔といいます。
具体的な表情は、口角が引き上げられているものの、左右非対称であったり、鼻にしわが引き寄せられたり、上唇が引き上げられる表情です。目が見開かれることもあります。左右非対称の口角は軽蔑を、鼻のしわと上唇の引き上げは嫌悪を意味します。共通のメッセージは、拒否です。