「なぜイージス・アショアに触れなかったのですか」菅官房長官を直撃
秋田県知事から要望書を渡される管官房長官ら。この後、筆者はイージス・アショアについて直撃した
応援演説を終えて、県知事や地元国会議員が菅氏に要望書を手渡す様子の頭撮りが許された。その一室で、筆者は菅氏に問いかけた。
「菅さん、イージス・アショアについて一言お願いします。故郷が攻撃対象になるのではありませんか。(演説では)なぜ触れなかったのですか」
しかし菅氏はやや引きつった笑顔を浮かべたものの無回答。質問を続けようとした筆者は即座に、スタッフに室外へと追い出された。
廊下では、菅氏が受け取った要望書が報道関係者に配布されていた。中身を見ると、イージス・アショアに関する記述は1行もない。
要望書を受け取り、写真撮影を終えた菅氏は、知事や国会議員らとの懇談会(非公開)にも出席した。途中、廊下に菅氏が出てきたところを再直撃して同じ質問を投げかけたが、やはり無言のまま。エレベーターに乗り込んで行った。
「誰の目線で進めようとしているのか」と野党候補は批判
参院選秋田選挙区に出馬する寺田静候補(手前右)と、それを支える夫の寺田学衆院議員(右奥)
そんな与党が支援する中泉松司参院議員(候補)と秋田選挙区で一騎打ちをするのは、野党統一候補の寺田静氏。夫は地元名門の政治家一家に生まれた寺田学衆院議員で、義父は寺田典城・元県知事だ。イージス・アショア配備に反対する寺田静氏は、6月16日の秋田県美郷町の集会でこう訴えた。
「私は、国の視点に立った国会議員を目指しているのではありません。国から決まったことを伝達するのであれば、テレビやニュースや新聞だけで十分。私は地域のどういう声があるのかを伝えていくことが、地域から選出された国会議員の役割であろうと思っています。
防衛省とアメリカの話だけを聞いて『必要なのだ』と言って、(イージス・アショアを)秋田に押しつけようとしている。秋田市の新屋地区というのは、ほんの数百メートルで目の前に住宅、学校、福祉施設もあります。当然、地域の皆様から大きな不安の声が上がっています。
しかし、それにまったく寄り添う姿勢を見せずに100ページもある資料を出してきて『必要なのです。新屋が一番いい場所なのです』と言ってくる。しかも資料はズサンな間違いだらけ。
誰の目線で進めようとしているのか、非常に疑問を抱いています。私は一人の生活者として、そして私の子供を含めてここで何十年も生きていく子供たちのために、きちんと考えて物を言っていかなければいけないと思っています」