2度の豪雨でたやすく崩落した伊方発電所周辺集落の避難路。蓮池氏とへこみデミオ号で回ってみた
1,2,3を参照)は、四国・伊方発電所周辺の立地について、筆者の愛車「へこみデミオ」号と徒歩でその驚愕の模様をお伝えしました。今回はさらに伊方発電所の原子力防災について、蓮池さんと一緒に見ていきましょう。なお、写真など配信先によってはこちらの意図通り見られない場合もございますので、その場合は本体サイトよりご覧ください。
夕闇迫る中、蓮池さん一行を乗せた「へこみデミオ」は、佐田岬半島を東へと国道197号線を疾走します。この197号線(山頂道路)は、三崎から湊浦まで信号機がひとつも無い線形のたいへんに良い道路です。一方で、全線50km/h規制のため、覆面パトカーにとっての絶好の狩り場です。県外ナンバーの自家用車はカモにされます。しかし、標高150~200m超という山頂付近に敷設されているため、集落との接続に難があります。また、数多くのトンネルと橋梁があるために大災害時に不通ないし車線規制となる可能性があります。
従って、五十五存在する集落から197号線への接続経路の確保と197号線が切れた場合の予備経路の確保は、原子力防災にとって必須条件といえます。
三崎地区の出口にある信号機を通過すると山に隠れていますが三崎高校があります。この高校は、山火事や津波などの災害時におけるオールマイティな指定緊急避難場所となっています*が、核災害時に197号線が閉塞している場合は、ふもとの三崎港から脱出することになっています。
<*伊方町の避難所について 伊方町>
ウィンズケイル核災害やチェルノブイル核災害といった、原子炉が単独で崩壊する核災害も歴史上複数ありますが、商用大型原子炉による核災害では、福島核災害を見れば分かるように、原子炉が勝手に壊れるのではなく、地震、津波、竜巻、台風、豪雨、航空機突入、テロール、サボタージュ、戦争などとの複合災害としても起こり得ます。
前回ご紹介しました、伊方発電所に関わる避難計画と、伊方町の災害時の指定緊急避難場所には不整合があると考えるほかありません。
要は、想定がたいへんに甘いのです。
国道197号線は、1970年代設計・施工の国道です。その後も改修が続けられていますが佐田岬半島は、地形の変位が活発で、さらに地層の風化も激しいです。そのため、前回ご紹介した名取トンネルだけでなく至る所で大小の防災工事が行われています。
このことは、「行くな酷道」と言われていた旧道時代にはすでに分かっていたことで、現在伊方町道となっている旧国道197号線は、常にどこかが壊れていると言っても過言ではありません。
とくに2016年8月の伊方発電所再稼働の時点では、同年6月19~21日の豪雨によって瀬戸内側の県道255号線はあちこちで路肩崩壊による車線規制があり、宇和海側の旧197号線(伊方町道)も、二カ所が大規模道路崩壊によって翌年まで全面通行止めとなり、交通規制区間も多数ありました。ほかにも複数の集落に孤立の可能性がありました。(参照:大雨警報による被害状況等について(第9報) 28.6.23愛媛県災害警戒本部)
愛媛県も伊方町も避難計画は大丈夫であると市民に説明していますが、私は、想定が余りにも甘すぎると考えています。
れいわ新選組から参院選立候補が決まった蓮池透氏の四国リレー講演会に同行する機会を得まして、その模様をリポートしています。前回まで(過去の回は
三崎から旧197号線入り口へ
2016年豪雨であちこち崩壊だらけだった佐田岬半島
この連載の前回記事
2019.06.23
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