消える2時間ドラマ。最盛期の月30本からわずか2本に。パターン化による視聴者離れと制作費が要因

2時間ドラマは消滅しない!

テレビ

Scanrail / PIXTA(ピクスタ)

 あらためて直近の2時間ドラマの放送状況を見てみると、今年3月は18本(前年は12本)。例年3月は年度末の改変期のため2時間ドラマが多く放送される傾向にあり、今年は開局60周年だったフジテレビが6本、近年は月1本しか放送しないこともあったTBS系「月曜名作劇場」が最後に3本放送したことなどで前年より大幅に増えたが、4月以降は目に見えて減少している。  このまま2時間ドラマは消滅してしまうのだろうか。2人の答えは「ノー」だ。  矢口プロデューサーは「2時間は一つの物語をやるのに、ちょうどいい長さ。映画と同じで、完結した物語を作るには最適の場だと思います。長くて視聴者が持たないという声もありますが、3時間くらいぶっ続けでやっているバラエティー特番が見られているのに、ドラマだけが見られないことはないはず。人間のディープな部分を描き、みんなが見たいものを作れば、必ず見てもらえる」と諦めていない。  金田さんも「2時間で気持ちよく完結するドラマも必要。連ドラみたいに全部で10時間も見続けるエネルギーのある人ばかりではないですから。偉い作家が脚本を書き、有名俳優が出演していれば、いいドラマというわけじゃない。映画『カメラを止めるな!』だって、そうでしょ。ドキドキ、ワクワクがあれば必ず見てもらえる。何だって見てもらえる時代じゃなくなっただけで、僕は悲観していません」と訴える。 「だからこそテレビ局には声を大にして言いたい。苦しい時期に放り投げるのは簡単です。でも、勇気を持って私たちと一緒にあがき続ける“ラストサムライ”になって欲しい」 <金田明夫さん> 1954年東京生まれ。俳優。ドラマ「高校教師」、「3年B組金八先生」、「風林火山」、「科捜研の女」、「警視庁・捜査一課長」、「民王」、「東京タラレバ娘」など出演作多数。ホームレスから首相まで幅広い役を演じ分ける名バイプレーヤーとして知られる。 <矢口久雄さん> 映像コンテンツ企画・制作会社テレパック プロデューサー。ドラマ「浅見光彦」シリーズ、「愛の劇場 温泉に行こう」シリーズ、「汚れた舌」、「同窓生~人は、三度、恋をする~」などを制作。 【文/中野龍】 1980年東京生まれ。毎日新聞「キャンパる」学生記者、化学工業日報記者などを経てフリーランス。通信社で全国の地方紙に配信する著名人インタビューや放送芸能記事を担当するほか、ウェブメディア、週刊誌等に寄稿。
1980年東京生まれ。毎日新聞「キャンパる」学生記者、化学工業日報記者などを経てフリーランス。通信社で俳優インタビューを担当するほか、ウェブメディア、週刊誌等に寄稿。
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