「超独身国家」に突入する日本、モノ・コト消費からエモ消費へ

イベントには多くの独身が来場した

 独身研究家として知られる荒川和久氏が著書『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックス)の刊行を記念してトークイベントを行なった。  昨今、生涯未婚率の上昇に伴う独身者の増加が顕著になってきている。最新の統計調査データによれば、20年後には高齢者人口よりも、独身者の数が上回るとする見解もある。少子化や高齢者の孤独死などの社会課題を直視すれば、生涯未婚率の上昇と密接に関連していると考えられる。  超高齢国家から「超独身国家」へ。今後、日本では独身者を中心とした経済社会(ソロエコノミー)が成立するのではという見立てもできる。それは、「おひとりさま」という言葉が定着して、おひとりさま向けのサービスや商品の登場など日本の消費事情が変わってきていることからも明らかだ。  6月17日に都内で開かれたトークイベントには、脳科学者の中野信子氏も参加。孤独との向き合い方や考え方、独身社会の到来によるソロ活市場の可能性について意見を交わした。

実は日本が超独身国家という事実

荒川和久氏

 まず、荒川氏は日本の人口統計データから紐解いた事実をもとに、2040年には国民の半分が独身になる可能性を説いた。 「よく日本は高齢化社会が到来し、国民の約3人に1人が高齢者になると言われるが、一方で20年後には国民の半分が独身になる統計が出ている。高齢者人口が約3900万人に対し独身者人口(未婚・死別・離別含める)は約4600万と逆転現象が起こる」  また、生涯未婚率(つい最近50歳時未婚率という呼び名に変更)については「2040年には男性の3人に1人、女性の5人の1人が生涯未婚になる。それに付随して一人暮らし世帯の割合が4割に上る」という。  つまり、今後独身でいる人の割合が増えることにより、世帯構造の変化が起き、ライフスタイルや消費動向が変化する可能性が高い。  ここで荒川氏が提唱するソロ属性の4タイプを紹介しよう。  家庭を大事にする「ノンソロ」、今は独身だがいずれ結婚する「エセソロ」。これらのタイプはしっかりと家庭を持ち、家庭での生活を謳歌したいという価値観を持っている。高度経済成長期を起点に家族市場ができ、日本の消費経済はノンソロ中心に成長してきたと言っても過言はないだろう。  しかし、社会情勢の変化に伴い、先に挙げた独身者が増加するとどうなるのだろうか。結婚意欲が低く、一人の時間を大切にする「ガチソロ」、結婚したり離婚したりを繰り返す「カゲソロ」といった、1人の生活を謳歌したいという価値観を持つ人が増えれば、消費ニーズが変化し、新たな市場が生まれる可能性がある。 「独身の人がモノを買う市場と、既婚・未婚関係なく、一人で消費をするソロ活市場が成長してくる。一人で行動しても楽しめる娯楽が増え、国内旅行やフェスなどは1人で行くのが当たり前になってきている」

2030年にはソロ消費市場が家族消費市場を抜く

 また、荒川氏は、ソロ消費市場がこのまま伸びていけば、2030年には家族消費市場を抜くのではないかと指摘する。  このような統計データから、ソロ活を好む人の特徴を把握しておくことで、ソロ消費のニーズを掴めるのではないだろうか。  荒川氏はソロ活を好む独身の特徴として以下が挙げられるという。 ・一人が好き ・愛よりお金 ・理屈っぽい ・協調性ない ・不幸度が高い(40代独身が最も高い)  読者の中にもどれか当てはまる項目はないだろうか。荒川氏はソロ活を好む人の特徴を挙げ、さらに共通して自己肯定感が低いことに言及した。 「スペックが有能である自分しか肯定できないのが独身の特徴。有能でなければ自己肯定ができないと考えがちで、概して幸福度よりも不幸度の方が高くなる傾向にある」  多変量解析で見ていくと、自己肯定できない理由として男性は恋愛軸、女性は仕事軸に偏っているという。では、どうすれば幸せを感じられ、自己肯定感が低い心を満たされるのだろうか。荒川氏は、 「自己肯定感が低いことの欠落感を埋め、よりどころとなっているのが消費。私はこれをエモ消費と呼んでいる。所有や体験価値ではなく、人の根源にある精神的充足を得るために、お金と時間を使う」と語り、ソロ活市場の消費動向を分析した。  ソロ活をする人が自分を肯定する、充足感を満たせる。このようなサービスや商品がソロ活において求められるのではないだろうか。
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エモクラシーの時代が到来する
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