ではなぜ、パチンコ業界は20万票以上の獲得を目標とするのか。
パチンコホールにおける就労人数は、約20万人と言われている。この20万人には、アルバイト就労者も含まれる。一般的に選挙戦において「業界票」の数え方は、「就労人口×3」というのが定説となっており、このことからパチンコホール関係者が持つ票数は約60万票であると推計できる。
パチンコホール以外のメーカーや販社、広告関連企業等の関係者が持つ票数をここに上積みする必要があるが、その数は明確にはなっていない。ただ、尾立氏の後援会関係者の言葉によれば、「基本はホール。ホール票が業界票全体の80%」と言っていることから、「パチンコ業界票60万票」というのは大きく間違える事はないだろうと推測する。
要は、この60万票のうちの3分の1の票の獲得が、パチンコ業界の目標となっておりそれが「20万票」の根拠となっている。
以下は筆者の推測である。
尾立氏を積極的に支援しているパチンコ業界の最大の目標は、3年後の参議院選である。パチンコ業界内部から族議員を出すこと。これがパチンコ業界20万票の真意であると思われる。パチンコ業界が独自の議員を立てるためには、最低でも業界票15万が必達。15万票が見込めないのなら自民党からの推薦を受けることは困難であると思われる。
万が一、尾立氏が10万票程度、またはそれ以下で当選した場合は、パチンコ業界は「賭け」に負けた、となるのだろう。
本稿を執筆するにあたり、少なくない業界関係者の話を聞いた。
その中で特に印象的だったのが、「業界が政治家を一人出したとして何か変わるんですかね~」という、パチンコ店で働く若いスタッフの言葉だった。ちなみに、20代も後半に差し掛かる彼は、今まで選挙の投票をしたことは無い。
仮に尾立氏が参議院選挙に立候補し、仮に当選したとして、では一体パチンコ業界の何が変わるのだろうか。ギャンブル等依存症対策が声高に叫ばれ、ともすれば世間の非難を受けやすいパチンコ業界で、それでも日々汗して働く若者たちに、パチンコ業界と尾立氏は果たして未来を語る事が出来るのか。
大事な点はそれだ。
<文・安達 夕
@yuu_adachi>