秋田市のイージスアショア配備予定地に津波対策の「かさ上げ」が必要と判明。防衛省の“意図的な隠蔽工作”か

 陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージスアショア」を含む“武器爆買い問題”が、与野党激突のテーマに急浮上し、今夏に行われる参院選の大きな争点の一つになるかもしれない。

新屋演習場へのイージスアショア配備は「かさ上げが必要」であることが判明

武器爆買問題野党合同ヒアリング

防衛省の候補地選定に関する調査報告書のミス発覚を受けて6月13日に開催された「イージスアショア虚偽調査 武器爆買問題野党合同ヒアリング」の初会合。マイクを握っているのは冒頭に挨拶をする元総務大臣の原口一博・国対委員長(国民民主党)

 立憲民主党や国民民主党、共産党などの国会議員有志は6月13日、防衛省の候補地選定に関する調査報告書のミス発覚を受けて「イージスアショア虚偽調査 武器爆買問題野党合同ヒアリング」の初会合を開催した。  約1時間にわたって防衛官僚を問い質すことで、候補地の陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)が津波水没想定域で「かさ上げ」が必要であることが判明。米国製兵器の購入を急ぐあまりのズサンな候補地選定の実態が露になったのだ。  しかし防衛省の担当者は「大きなかさ上げをしなくても対応できる」と説明、「配備適地だ」とする判断に変わりはない姿勢を繰り返した。これがさらなる野党議員の追及を招いた。「何メートルかさ上げをすればいいのか」「津波対策に関する文書はあるのか」という再質問に対して、防衛官僚は具体的文書を示すことができなかった。  軟弱地盤が見つかって地盤改良工事が必要な辺野古新基地建設でも、安倍政権は総事業費や工期を示さずに比較的容易なエリアの埋め立て工事から進めている。同じように秋田でも、肝心な総工費を示さないままイージスアショアの新屋演習場への配備を強行しようとしているのだ。  調査報告書の不備(隠蔽)も新たに明らかになった。住民説明会で配布された調査報告書には、19の候補地のうち8か所に津波の影響が懸念され、「配備不適」と結論づけていた。しかし「唯一の適地」とされた新屋演習場については、津波の影響の記載が抜け落ちていたのだ。

「津波対策未記載」は、防衛省の“意図的な隠蔽工作”か!?

国民民主党の渡辺周・安全保障調査会長

津波対策の未記載問題について口火を切ったのは、国民民主党の渡辺周・安全保障調査会長。防衛官僚から「かさ上げが必要」との答弁を引き出した

 この未記載問題について口火を切ったのは、国民民主党の渡辺周・安全保障調査会長だ。「新屋演習場は津波の影響について触れていない。なぜ影響なしと言い切れるのか」と質問をして防衛官僚から「かさ上げが必要」との答弁を引き出した。  これを受けて立憲民主党の本多平直・安全保障委員会筆頭理事も「(候補地比較)一覧表には新屋演習場は津波の影響が空欄になっているが、津波の影響有でしょう。『かさ上げで影響を減らせる』と書いてください」と追及して締めたのだ。  防衛省の調査報告書でまず明らかになった誤りは、グーグルアースの高さを強調する縮尺変更操作を考慮しなかった計算ミスだった。さらに発覚した今回の「津波対策未記載」は、より悪質な“意図的な隠蔽工作”と思われても不思議ではない。不公平な比較検討を意図的に行って、新屋演習場に誘導したとしか見えないからだ。  これは、イージスアショア配備の妥当性を根底から揺るがす大問題だ。東日本大震災の被災地である三陸海岸では、土地のかさ上げで高台に住居をする造成事業が各地で行われているが、かなりの費用との工期がかかる。  そんな大規模工事が必要な陸上配備型イージスアショアよりも、海上配備型イージスシステムである「イージス艦」の機能強化をするほうが、日本の安全保障にプラス、費用対効果が高いという意見もある。
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“米国製兵器爆買い”政策についての国民的議論を
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