在ベトナムの邦人起業家、差別発言で大炎上。現地日本人社会も困惑

ハノイでは、まさしく「大炎上」だった……

今回問題となった投稿者が批判したデリバリーサービスのバイク。職業によっては服が汚くなることもあるのは当然で、それを批判的に言う権利は誰にもない

 この起業家にとってはちょっとした発言だったのかもしれない。いわゆる「意識高い系」を自負し、日本人ハノイ在住者も賛同してくれると思ったのだろう。この人物のアカウントをフォローしていた人は当初、これに賛同する日本人がいたという。しかし、炎上が発覚するとコメントは削除され、ついには起業家本人もアカウントを非公開にしてしまった。フェアではないので入手できた当人の携帯電話にかけてみたものの、呼び出し音が鳴るばかりで、電話を取ってくれなかった。  ベトナム語になった記事に反応し、ベトナム人からは下記のような反応がある。 「何ガ小汚いって!仕事中の制服だよー」 「何の仕事をしても 自分の力で お金稼げたら 良い仕事です。どんな服を着ても 自分で 合うと思ったら 良い服です。人間は 様々なんですが 他人差別する事は 最低な人間の事です。」 (いずれも「ベトナム日本交流 On Facebook」を参照)  ネット上ではこの日本人のフェイスブックも出回っており、どの投稿に対しても罵声の嵐で、まさしく「炎上中」である。

日本人全体の評価を落とす行為

 問題はハノイの日本人社会にもかなりの影響があることだ。ハノイ在住日本人たちは今後どうなるのかとひやひやしているという。飲食店で働く人物は次のように筆者のメールに返信している。 「本件はベトナム人コミュニティでもかなりバズってますね。私の友人でベトナム人女性と結婚した人は本件でかなり責められたとのこと。日本人ってヒドイ! って」  理解し合っている夫婦でもこのようなことになっているし、批判の一部はそのカフェがそもそも高級じゃないしおいしくないといった議論まであり、とばっちりも広がる。  さらに別の自営業者はこのように言った。 「ベトナムで悪口を言ったら、ここまで炎上して袋叩きに遭うのかとビビってます」  この人物によれば、本人はなんら反応を示しておらず、SNSなどから顔も知られてしまった以上、ベトナムで事業を継続することは不可能だろうということだった。
次のページ
助け合いで築いてきたハノイの日本人社会を崩す新移住者
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会