学校のファシズムが、国に都合のいい子をつくる

組体操

リュウタ / PIXTA(ピクスタ)

なくならない「組体操」や「ブラック校則」

 人を米俵のように積み上げることが、先生たちには快感なのだろうか――。  運動会の組み体操のことである。学校側は、「教育的意義がある」「一体感を得ることができる」「伝統だから」などと説明するが、子どもの命をかけてまでやることではないだろう。  そもそも、学校には安全配慮義務がある。組み体操に保護者が期待する声があるというが、実施を決定しているのは学校だ。過去に死亡事故や後遺障害を負った例があり、専門家からも危険だと指摘されているのに、学習指導要領にもない演技を続けているのは不適切だといえる。SNS上では、組み体操と特定の宗教との関わりも指摘されている。個人の尊厳を奪う憲法違反でもあると思う。それとも、学校は「特別」だから、「命より伝統が大事だ」と言い逃れできるというのだろうか。  学校は長く、「治外法権」だと言われてきた。人権を侵害するような校則も目立つ。  制服のスカート丈の長さ、下着や靴下の色、ブラジャーの形、髪の長さや色、髪留めのゴムの色や留める位置、校章のワッペンを縫い付ける糸の色、鉛筆の本数、教室で発表する時のいすの引き方……など、統制はありとあらゆる場面に及んでいる。 「社会に出てからの決まりを守る練習」という説明も聞くが、下着の色まで決まっている会社があるのだろうか。  しかも、こうした細かな校則は、親世代が現役の中高生だった頃よりも増えているという。なぜなのか。

モラハラ取材で垣間見えた学校教育の「効果」

 先月、モラルハラスメント(精神的DVの一種)の取材をして、その「効果」に気づいた。妻が茶わんによそったご飯の量に対して「一口多い」「二口少ない」などと文句を言い、冷蔵庫の中身など日常生活の隅々まで細かなルールを設定している夫がいた。どんな意味があるのか不思議に思い、取材先の臨床心理士に尋ねると、これは加害者に典型的な特徴なのだという。細かなルールを一つひとつ守らせることで相手を支配し、思考力を奪うことができるからだ。  たとえば、「服装の乱れは心の乱れだから、校則で規制している」といわれる。一方、生徒の服装が乱れたとき、心の部分に着目して「何かあったの?」と尋ねるような指導がなされているとはいえない。スカート丈が短かったら、生活指導担当の教員が「短すぎるぞ」と叱って正すだけで終わりになることがほとんどだろう。  つまり、校則は「守らせること」そのものに意義が見いだされている。そう感じざるを得ない。細かな校則を一つひとつ守らせていくことで、反抗しない従順な子どもを育てようとしているのではないか。人間としてではなく、米俵として……。組み体操で培われるという「学習規律」は、号令一つで子どもたちを素早く動かすために都合がいい。  子どもを「個」ととらえるのではなく、「集団の構成員」として扱う思想は、安倍政権の「教育再生」が向かっている社会のあり方とも合致している。
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学校で拡大する「心を磨く」活動
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