「トラック運転手は“底辺職”」!? 謂れなき偏見に物申す

過酷ならば底辺職なのか

 このように、理不尽なことが多いトラックドライバーという仕事。表面上に見れば、どうしても「底辺職だ」とされやすく、ドライバーの中にも実際そういう思いを抱きながら働いている人もいる。  しかし、こうした過酷な環境の中でも、自らの仕事を「底辺職」ではなくむしろ「天職」だと胸を張り、愚痴をこぼしながらも、長年生き生きと日本の道路を走り続けるトラックドライバーも数多く存在することは、是非分かっておいていただきたい。  彼らがトラックを降りないのは、「仕方ないから」や「他に職がないから」ではなく、「トラックドライバーという職が心底好きだから」だ。彼らと話していると、「過酷ならば、低賃金ならば“底辺職”なのか」という思いが沸々とこみ上げてくるのである。  自分が誇りをもって就いている仕事を認められなかったり、侮辱されたりされることほど、モチベーションが下がることはない。  トラックドライバー自身にも改善すべき点は多くあるが、彼らが邪魔者扱いされながらもひたすらに走っているその先には、我々の生活があるということだけでも理解してもらえると、日本の物流はもう少し明るくなる。 <取材・文/橋本愛喜> フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。日本語教育やセミナーを通じて得た60か国4,000人以上の外国人駐在員や留学生と交流をもつ。滞在していたニューヨークや韓国との文化的差異を元に執筆中。
フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。ブルーカラーの労働環境問題、ジェンダー、災害対策、文化差異などを中心に執筆。各メディア出演や全国での講演活動も行う。著書に『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書) Twitterは@AikiHashimoto
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会