このように、理不尽なことが多いトラックドライバーという仕事。表面上に見れば、どうしても「底辺職だ」とされやすく、ドライバーの中にも実際そういう思いを抱きながら働いている人もいる。
しかし、こうした過酷な環境の中でも、自らの仕事を「底辺職」ではなくむしろ「天職」だと胸を張り、愚痴をこぼしながらも、長年生き生きと日本の道路を走り続けるトラックドライバーも数多く存在することは、是非分かっておいていただきたい。
彼らがトラックを降りないのは、「仕方ないから」や「他に職がないから」ではなく、「トラックドライバーという職が心底好きだから」だ。彼らと話していると、「過酷ならば、低賃金ならば“底辺職”なのか」という思いが沸々とこみ上げてくるのである。
自分が誇りをもって就いている仕事を認められなかったり、侮辱されたりされることほど、モチベーションが下がることはない。
トラックドライバー自身にも改善すべき点は多くあるが、彼らが邪魔者扱いされながらもひたすらに走っているその先には、我々の生活があるということだけでも理解してもらえると、日本の物流はもう少し明るくなる。
<取材・文/橋本愛喜>
フリーライター。大学卒業間際に父親の経営する零細町工場へ入社。大型自動車免許を取得し、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ足を運ぶ。日本語教育やセミナーを通じて得た60か国4,000人以上の外国人駐在員や留学生と交流をもつ。滞在していたニューヨークや韓国との文化的差異を元に執筆中。