「このままいけば恐ろしいことに。安倍内閣は“亡国の政権”だ」<小沢一郎ロングインタビュー第2回>

「結集」──小沢一郎氏が代表を務めた自由党のポスターにあった2文字が今、実現に向け動き出した。4月26日未明、国民民主党と自由党が合流を決定。野党統一候補の調整が進む中、今夏に行われる参議院選挙のカギを握る小沢氏に戦略・戦術を聞いた。

安倍首相ではトランプ大統領に太刀打ちできない

小沢一郎インタビュー2-1 安倍政権はもともと「戦後レジームからの脱却」を掲げて発足した。だが、その対米従属ぶりは歴代自民党政権の中でも際立っている。国賓として5月25日に来日したトランプ米大統領は、ゴルフや大相撲観戦、炉端焼き、新天皇との会見と連日の「接待外交」でもてなされた。 「僕はトランプ大統領と話したことはありません。ただ、言動を聞いていると、ある意味では異色の大統領。思ったことを率直に口にする人物のようです。はっきりしているのは、安倍政権を信用する気持ちなど、これっぽっちもないこと。それが彼の流儀。欧州の同盟国に対しても平気で注文をつけていますから、ましてや日本にはなおさらです。利用できるときだけ利用する。  非常に友好的に見えるのは、日本が米国のモノを買ってくれているからです。貿易交渉も今は中国とやり合っていますが、風向きが変われば、矛先はすぐに日本に向く。『アメリカファースト』一辺倒なので、手ごわいと言えば手ごわい相手です。安倍首相ではとても太刀打ちできません」

富の公平な配分、国民の暮らしを第一に考える政権を

 小沢氏はこれまで記者会見などの場で安倍政権について「基本的な政治への認識が野党とはまったく違う」と批判してきた。あらためて現政権の問題点とは何か。 「まずは政治の基本的な理念。安倍政権は競争第一、優勝劣敗、弱肉強食という考え方です。これはもはや政治とは言えません。初期の資本主義国家では貧富の差が拡大し、『これでは社会が持たない』というところまで行き着いた。そこから労働法を作り、社会保障制度ができていきました。  英国では『ゆりかごから墓場まで』で知られる手厚い福祉国家が実現した。資本主義は民主主義という政治体制と一体となり、生き延びてきたんです。  ところが、安倍政権の進める新自由主義は、もういちど原始資本主義のころに戻そうという考え方。規制撤廃の名のもとに、セーフティネットを次々と潰してきた。これは時代の流れに逆行した、政治の本質とはまったく反する動きです。絶対に許してはいけない」  小沢氏は民主党代表時代、小泉純一郎首相や竹中平蔵経済財政担当相(当時)の構造改革路線に対し、「国民の生活が第一」をスローガンに掲げた。この言葉は民主党が2012年、消費増税を巡って分裂すると、そのまま新党の党名になっている。小沢氏の政治家としての師である田中角栄元首相も「政治とは何か。生活である」との言葉を遺した。 「野党が目指すのは国の富の公平な配分。国民の暮らしを第一に考える政権、政治体制を打ち立てなければなりません」
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さまざまな格差を解消していきたい
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