マークダウンは
「軽量マークアップ言語」と呼ばれる種類のものだ。「マークアップ言語」では、文書に見た目や構造の指示を加える。軽量でないマークアップ言語には
「HTML」や
「XML」がある。マークダウンは、HTMLやXMLほど難しくない、簡易なものだ。
Webの世界では、このマークダウンがよく使われる。ブログなどでは、入力形式としてマークダウンに対応しているものが多い。セキュリティ的な観点から、直接HTMLの入力を禁止している場合、軽量マークアップで入力させると都合がよいからだ。
また、プログラマーは「Word」などのリッチなファイルではない、テキストファイルを好む。そのためプログラマーのドキュメントは、マークダウン形式で書かれることが多い。その際、
慣習的に拡張子は「.md」を用いる。しかし、中身は単なるテキストファイルなので、拡張子にこだわる必要はない。
プログラマーが多く利用している「
GitHub」では、GFM(GitHub Flavored Markdown)という、マークダウンを採用している。
近年登場したコードエディタでは、「
Atom」や「
Visual Studio Code」のように、標準機能としてマークダウンプレビュー機能を備えているものが多い。
軽量マークアップ言語として有名なものには、他に「
ウィキテキスト」がある。「Wikipedia」(Wikiによる百科事典)などで記事を書く際に用いる形式だ(
Wikipedia)。
少しマイナーなものになるが「
BBコード」というものもある。こちらは電子掲示板やブログなどで使用される。私が目撃したケースとしては、ゲーム配信プラットフォームの「Steam」で文章を入力する際に用いられていた(
Wikipedia)。
マークダウン機能を持つエディタ「Atom」には、表示したHTMLを保存する機能がある。この機能を使って保存したHTMLファイルを「Google Chrome」で開く。そして「Ctrl+P」で印刷ダイアログを開けばPDFとして保存できる。
この機能を利用すれば、テキストで書いた文書を、見栄えよくHTML表示して、PDFとして保存できる。ビジネスでやり取りする簡単な文書を作成する際に便利だ。
マークダウンは、覚えやすくて使いやすいので、もっと広がってくれればと思っている。
◆シリーズ連載:ゲーム開発者が見たギークニュース
<文/柳井政和>
やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『
裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『
レトロゲームファクトリー』。