「ヒット曲」ゼロのMCバトルの世界。呂布カルマは“井上陽水”を目指す<ダメリーマン成り上がり道#18>

『フリースタイルダンジョン』が地上波で放送され、『高校生RAP選手権』は日本武道館を満員にする人気に。そのシーンからはメジャーデビューするアーティストも、日本武道館で単独公演を行ったBAD HOPのようなスターも現れたMCバトル。MC正社員の連載『ダメリーマン成り上がり道』の第18回は、前回に引き続きラッパー・呂布カルマとの対談。今回はそのようなブームが続きながらも、世間的なヒット曲がひとつもないシーンの問題点と、そこで一人のスターとなった呂布カルマが次に目指すべきアーティスト像について語り合った。

MCバトル谷間の時代を乗り越える施策

MC正社員(左)と呂布カルマ(右)<撮影/古澤誠一郎>

――呂布さんはこの先のMCバトルのシーンはどうなっていくと思いますか? 呂布カルマ(以下、呂布):「大きな爆発がないと、ぶっちゃけ尻すぼみだと思います。自然に何か起こると思いますけどね。MCバトルを見る人は減っても、やる人は入ってくるし、一度このくらい跳ねたコンテンツは、下火になってもまたリバイバルがあると思うし。若い頃にバトルに夢中だったヤツが、少し歳を重ねたときに『今あまり大会がないから自分たちでやろう』と思うかもしれないし。そういうことが自然発生する程度には、バトルを好きな人は増えていると思いますね。でも谷間の時代はまた来ると思います」 ――正社員さんはその状況を変えるための策はありますか? MC正社員(以下、正社員):「呂布さんにも出てもらっている戦極BATLLE TOWERとかはそのひとつですね。ベテランを若手が倒しに行くみたいな構図を作って、全試合、字幕をつけてYouTubeにアップして、裏側の人間模様も見せています。俺は毎回『今回で戦極をやめよう』という気持ちでやっているんですけど……」 呂布:「宮崎駿みたいなやめるやめる詐欺か」 正社員:「違うよ! ひとつは自分がピュアに楽しめなくなっているというのがあって。やっぱり戦極って、UMB(ULTIMATE MC BATTLE)とかKOK(KING OF KINGS)とは違う大会なんですよ。戦極を支えているのって、MCとお客さんの熱気とか、俺のバトルへの愛とかなんで。俺のそこなくなったら、本当にやめようかと思っていて。俺の生活があるからやめるわけにもいかないんですけど」

お金を持った大人がシーンから離れた

正社員:「あと最近は、この業界がいろいろな大人たちに見放されはじめているんですよ。2~3年前は広告代理店の怪しい人とか、CMの案件を持ってきてくれる人がいたんですけど、それがどんどんいなくなってます」 ――お金を持った大人たちが離れていってるわけですね。 正社員:「そうですね。俺はMCバトルが好きだから、この場を守っていくのが役目だと思っていて。賞金1000万円の大会とかをやれば盛り上がるかもしれないけど、俺は相当泥臭いことしないと集められないし。サイバーエージェントの藤田社長がポンと出してくれればいいんですけど」 呂布:「AbemaTVもヒップホップを排除しようとしていますから。AbemaTVのヒップホップ関連の番組って、今まではヒップホップ好きの社長の肝いりでやっていたんですけど、やっぱり数字が取れなくて一斉に終わりました」
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シーンに必要なのはヒット曲
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