「国の指導者」とは通常「国家で最も政治的権力を持つ人物」を指す。日本で言うと内閣総理大臣である安倍晋三が該当する。韓鶴子の一連の発言は、日本の指導者つまり安倍晋三総理大臣を「自分たちに侍る存在」として見ていることに他ならない。
これまで統一教会は数十年に渡って自民党議員を中心に秘書・運動員などのスタッフ派遣を行ってきた他、近年の国政選挙では安倍首相の依頼で特定候補者に組織票を投入、教団関連媒体の『世界思想』や『世界日報』、そして2世信者組織・勝共UNITEなどを駆使しその政策を後押ししてきた。しかし今回、教団内部では安倍晋三総理大臣を屈服と教育の対象として見下していることが明らかになった。
こうして罪悪感を刷り込まれ、国家復帰の責務を負わされた日本の教団幹部が末端信者を駆り立て、末端信者が一連の正体隠し勧誘や霊感商法などを行ってきたという構図だ。
韓鶴子の“み言”には『奇跡』という言葉が頻繁に出てくる。教団内部資料には「奇跡が起こる」として「氏族メシヤ、国家復帰、世界復帰」と記載がある。それぞれの信者が開拓者となって430家庭を伝道し、その430家庭が“神氏族メシヤ”として伝道活動をすれば、その先には国だけでなく世界が統一教会に教化されるという単純なネズミ算的思考が見てとれる。
「氏族メシヤ430カウント」と「奇跡」「国家復帰」「世界復帰」の関係図(教団内部資料より)
2017年7月に山本朋広ら日本の国会議員団をアメリカ外遊へ連れて行ったUPFの梶栗正義会長が、翌月の集会で韓鶴子にこう報告していたことは
当連載で触れた。
「私たちがお母様が準備してくださったアメリカの摂理を輝かせるために日本において何がなせるのか、宋龍天会長・徳野栄治会長と共に多くの悩みをしてきました。(中略)日本からも日本の国会議員をワシントンに連れて行ってNYのお母様に挨拶をさせる、これはどうだろうかと。このような計画を立てたわけです」
やはり日本の国会議員を韓鶴子に侍る存在として捉えていることが判る。