高齢者運転だけじゃない! 多発する暴走事故のもう一つの原因「ペットボトル」

ドリンクホルダーのペットボトル

yoshitaka / PIXTA(ピクスタ)

警察密着番組の仕事を通じて知った「意外な事故原因」

 テレビや新聞、インターネットのニュースサイトを見ても高齢者の運転するクルマの暴走事故が毎日のように後を絶たない。  実は昔から高齢者が運転する車両での事故はあったのだが、”高齢者の運転は危険ですよ=なるべく運転免許証は返納して欲しい”という警鐘の意味を含めた交通事案のプロパガンダに過ぎなかった。  しかし高齢者によるアクセルとブレーキの踏み間違えで発生する交通死亡事故が増加していることから政府も黙っておられず、積極的に報道機関へ情報を流し始めたと聞く。  MT車はクラッチ操作必須なため、公道レースでもしない限りいきなりアクセル全開なロケット発射的加速はまず日常の運転ではありえないこと……だったが、AT車が全盛の今ではまずブレーキを踏みながらエンジンをかけ、すぐにアクセル全開することも容易で、反射神経の鈍くなっている高齢者でも簡単にアクセルベタ踏み暴走は可能と言えば可能だ。  だが、その他にも「意外な」原因がある。  筆者は警察密着番組の仕事を不定期ではあるが2001年から現在も続けており、数々の交通事故現場を取材してきた。  クルマの単独死亡事故現場の場合は「なぜこんな見通しの良い場所でハンドルを切って壁に激突しての自損事故を?」と現場検証にあたる捜査官たちと話をよくするのだが、なかなか原因が掴めなかったりする。  だがある日再び、同じ管轄内の首都高速道路で発生した自損死亡事故の取材に向かうと、それは不謹慎ながらも興味深い死亡事故状況であった。

事故車両の運転席足元にあった「あるもの」

 死亡したのは中年男性で、運転していた車両はATの普通自動車。捜査官と一緒に状況証拠を照らし合わせながら意見を出し合い推理していくと、ブレーキペダルとアクセルペダルの間に飲みかけではあるが蓋の閉まっているペットボトル飲料が挟まっていたことに気づいたのだった。  ブレーキ痕もなく壁に激突していて、そのペットボトルの下部がブレーキペダルの下へ横たわる形でピッタリと入り込んでいた。  ペットボトルの先端上部がアクセルペダルのバー部分へ引っ掛かるように挟まっていた状況から推察すると、運転手は運転中に運転席の右エアコン送風口に装着していたドリンクホルダーから右カーブへ差し掛かった際にペットボトルを運転席下部へ落とし、それがたまたまアクセルペダルとブレーキペダルの間に挟まる形で転がったのだと思われた。  ブレーキペダルの下にペットボトルがキャップを開けてない状態で入り込んだらブレーキを踏むことが不可能かつ、アクセルペダルのバー部分にペットボトルの先端飲み口個所が引っかかる(キャップのギザギザが災いし、それが滑り止めになっていたのかもしれない)。  確率的にはなかなかないことではあるが、事故検証では本人が死亡しているため話を聞けないため、このように状況判断で推測することになる。
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ペットボトルのせいでペダルを踏み切れなかった運転手
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