ペットボトルのせいでペダルを踏み切れなかった運転手
さらに突き詰めていくと、死亡した運転手はタバコを吸おうとしていた事実も判明した。なぜそれが分かったのか。
運転席下部へ火を点ける前のタバコが一本だけライターと一緒に落ちていることから、運転中にタバコを吸おうと火を点ける瞬間右カーブへ差し掛かり、ペットボトルがドリンクホルダーから落下。
慌てた運転手はブレーキを踏んでもペットボトルのせいでペダルは踏み切れず、踏もうと頑張るも、と同時にアクセルペダルのバーへ引っかかっているペットボトルの先端部がアクセルを踏む形になり、速度は下がらずむしろ上がってしまい曲がり切れずに壁へ激突したのではないかと、名探偵コナン並みの推理を捜査官たちと進めた。
なぜならばそのブレーキペダルの下に挟まるように落ちていたペットボトルには、クルマを止めようとするべく強く踏みつぶそうとするぐらいの圧がかかっていたのをボトルの形状痕から判断。ちなみに運転手の死亡原因はエアバッグが開き外傷はないのだが、その反動で運転席のヘッドレストへ後頭部をぶつけ、首の骨が折れての即死であった。
MT車であればシフトチェンジで無理矢理にでもエンジンブレーキを効かせて速度を落としたりは可能だったであろう。
この後、筆者がロサンゼルスに出張した際、現地のレンタカー屋にペットボトルでの事故は存在するのか聞くと、過去に何度かあったといった。
ただし、アメリカはドリンク缶のシェア率が高いのでペットボトルよりもドリンク缶を落としての事故のほうが多いという。ドリンク缶であれば強く踏み込めば膨張して栓が少し開いて中身が飛び出てくれることもあるので、ペットボトルのほうがはるかに危険ともいった。
暴走事故の原因は高齢者運転だけではない。ペットボトルを運転席に落としクルマを止められなくなり激突する場合も多いのだ。ペットボトル事故は老若男女全ての運転手に起こりうるため、くれぐれも注意してほしい。
【吉田武 a.k.a. ジャンクハンター吉田】
交通ジャーナリスト、映画コラムニスト。交通関係では三才ブックス『ラジオライフ』を主軸に執筆しつつ、『WEB CARTOP』『週刊プレイボーイ』『FRIDAY』『Abema Prime』などへ登場の他、まぐまぐのメルマガにて『疑問だらけの道路交通法』を毎週金曜に発行中。映画関係ではBS10スターチャンネルで放送中の映画情報番組『映画をもっと』にレギュラー出演など。
交通ジャーナリスト、映画コラムニスト。交通関係では三才ブックス『ラジオライフ』を主軸に執筆しつつ、『WEB CARTOP』『週刊プレイボーイ』『FRIDAY』『Abema Prime』などへ登場の他、まぐまぐのメルマガにて『疑問だらけの道路交通法』を毎週金曜に発行中。映画関係ではBS10スターチャンネルで放送中の映画情報番組『映画をもっと』にレギュラー出演など。