紫外線との付き合い方については、順天堂大学医学部付属練馬病院で整形外科医をする坂本優子氏が登壇した。
紫外線は浴びすぎると、白内障発症のリスクを高めるものの、「浴びる量をコントールすればそこまで怖がる必要はありません」と坂本氏は話した。
坂本優子氏
紫外線には重要な役割もある。日光を皮膚に浴びると「ビタミンD」を体内で生成することができるのだ。
「ビタミンD」は、丈夫な骨をつくったり、免疫力を高めたりする働きをするため、成長期の子どもたちには必要な栄養素のひとつだ。不足すると、認知症や糖尿病、注意欠損多動性障害(ADHD)の原因になると言われる。
日光を浴びる時間の目安は、7月下旬に横浜市の場合で、「1日5分」がめど。30分以上浴びないように気をつければよい。
反対に冬(1月下旬)の場合は、「1日30分」をめどに日光を浴び、80分以上浴びないようにする。
夏場に長時間の外出をする際には、「子ども用の日焼け止めクリームをお子さんに塗れば良いでしょう」と、坂本氏はアドバイスした。
ビタミンDが豊富な食材は、干ししいたけ、さけ、さば、卵黄など。さけおにぎりやさば缶を使うと、手軽に摂取できる。
避けるべきものと思われがちな紫外線も、上手に付き合うことによって骨を丈夫にできるメリットがある。
本イベントの最後には、参加した4組の親子が骨を強くする運動として、2人の医学博士となわとびをした。坂本氏は骨を強くする運動として、「ジャンプ」を勧めた。
「骨を強くするには、ジャンプをして骨に振動を与えるといいんです。骨の中には骨をつくる細胞があり、振動がその細胞を刺激して骨を丈夫にするからです」
講師たちの話を静かに聞いていた子どもたちは、思いもかけないなわとびに興奮。歓声をあげながら、飛び跳ねていた。
運動後は専門の機械を使って、子どもと保護者の両方が、骨密度を計測した。初めて見る機械に子どもたちは大はしゃぎ。保護者は「骨がもろかったらどうしよう」と不安な表情を浮かべながらも、正常な結果を見て安堵していた。
このように、ちょっとした心がけで恐ろしい熱中症を防ぐことができる。これから梅雨を迎え、本格的な夏がやってくる。「自分は大丈夫」「自分の子どもは大丈夫」と考えず、対策を心がけたい。
<取材・文/薗部雄一>
1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている。