そこで数日後、筆者は東京入管総務部に聞いてみた。 ――仮放免者がしてはいけないことは「就労」と「居住県外への許可なき移動」の2つですね。 東京入管総務部：その通りです。 ――先日面会した被収容者は「車の運転」をして「重量オーバー」で収容されたと訴えています。そもそも、仮放免者は車の運転自体が禁止されているのでしょうか？　もしくは、道路交通法違反での収容はあり得るのでしょうか？ 東京入管総務部：仮放免者の再収用は基本的には（上記）2つの条件違反ですが、他の案件で収用するかどうかはそこの施設長の判断に委ねられています。運転自体は基本的に自由です。 ――では、今回の収用に関しては、道交法違反と理解していいのですか？ 東京入管総務部：それは申し上げられません。 　今、ゼンギンさんはこう覚悟している。 「今回の収容は長くなる。いつ出られるかまったくわからない」 　かつて4か月程度の収容は体験しているが、今回は年単位の収容を想定しているのだ。というのは現在、全国の入管施設で被収容者の長期収容が常態化しているからだ。 　牛久入管で20年以上も被収容者との面会を続ける市民団体「牛久入管収容所問題を考える会」の田中美喜子代表は、「牛久入管では半年以上の長期被収容者の割合が9割以上の306人もいます（2018年度末）。長い人で5年。凄まじい人権侵害です」と入管の姿勢を強く批判している。 　1年以上収容の数字を見ても278人で、2013年2月時点（97人）の約3倍にも膨れ上がっている。なぜ長期収容が増えるのか。一つ言えるのは、その背景には、法務省入国管理局長（現・出入国在留管理庁長官）による「通知」と「指示」がある。2016年４月7日。入国管理局長は全国の収容所長にこのような通知を出した（概要）。 「2020年の東京オリンピックまでに、不法滞在者等『日本に不安を与える外国人』の効率的な排除に積極的に取り組むこと」