打ち上げられた60機のスターリンク衛星。このあと、衛星は分離され、1機ずつ散らばっていった (C) SpaceX
スターリンクを構成する衛星の数は、最終的に
約1万2000機になるといわれており、これはこれまで人類が半世紀以上の歴史の中で打ち上げた衛星の総数を超える。また、各衛星は数年で寿命が来るため、定期的に代替機の打ち上げも行われることになり、累計の打ち上げ数で考えると、さらにとんでもない数になろう。
各衛星は
高度550kmの低い軌道を飛ぶため、通信ラグも小さい。長距離通信であれば地上の光ファイバーよりも低遅延にできるため、大きな利点となる。
また、大量の衛星を配備するとなると、スペース・デブリ(宇宙ゴミ)に衝突したり、逆に自身がデブリ化するリスクも増えるが、衛星にはデブリを追跡し、
自律的に衝突を回避する機能や、運用終了時に早期に軌道から離脱する機能が搭載されるなど、最大限の配慮がなされている。
今後の見通しについてマスク氏は、まずこれから
6回の打ち上げを重ね、つまり今回を含め計420機の衛星で初期運用を開始するとしている。詳細は不明だが、低速かつ空白地域も多少ありつつも、ひとまず全世界でネットがつながるようになるということだろう。
また、全世界を確実にカバーするためには、さらに12回の打ち上げ(つまり計1140機)が必要になるとしている。これだけでもかなりの数だが、スペースXは昨年だけでも21機のロケット打ち上げを行っていることから、他の衛星の打ち上げをこなすことを考えても、2020年中には十分配備が可能な数といえる。
そして、全世界にブロードバンドを安定して届けるためには、約1万2000機が必要だという。桁一つ増えるが、ロケットの打ち上げ数を増やすこと、またより大型の新型ロケットの開発が進んでいることもあって、順調にいけば2020年代中には実現するかもしれない。