呂布:「判定で負けても負けたと思ってないっすから。別に若いヤツにコロッと負けたところで、自分の何が傷つくかというと、まったく傷つかないし。僕はやっぱり自分をアーティストだと思ってるので」
正社員:「その考え方も凄いと思ったんだよな。俺が『じゃあ○○と戦っても呂布さんはプロップスを与えるために負けるんですか?』と聞いたら、呂布さんは『
○○は俺よりカッコよくないから、俺は負けない』と言ってて。この人、しばらく負けないなと思いました」
呂布:「バトルで韻を踏むのが上手なやつが、最後のターンのケツでいい韻を落として、会場が湧けばそいつが勝ちますよ。でも『
お前は俺よりいい曲を一曲でも作ってんのか?』って話なんです。そんな曲を作ってるヤツ、周囲を見渡しても一人もいないですよ」
–バトルの勝敗よりも曲のほうが大事だと。
呂布:「バトルの勝敗は水物というか、大会自体が一種のお祭りなので、結果はどうでもいい。ライブを見て『こんな曲は俺には書けねぇ』と食らわされたら負けだと思いますけど、そんなやつも正直一人もいない。だからマジでどうでもいいですね。俺が負けることで相手にプロップスができて、そいつがいろいろなところに呼ばれて、CDも売れて、意識が高くなって、もっといい曲が書けるようになるなら、それはいいことですよ。俺よりベテランの売れ残りで、くすぶってるヤツに負けるのはマジ意味ないですけどね。
俺より若くて、まだこれからのヤツに負けるのは全然嫌なことじゃない。『頑張ってね』って思います」
――そういう意識でMCバトルに出るようになったのはいつ頃からですか?
呂布:「やっぱりKING OF KINGSに勝ってからですね。少なくとも『勝ち逃げはないな』と思いました。自分もバトルで勝つことで沢山プロップスをもらってきたんで、それを返してゼロにできたら終わりかなと思ってます。僕に勝っても何の価値もない状況になったら、もう出る意味はないなと。
漢さん(漢 a.k.a. GAMI)とかも、自分と同じ気持ちでバトルに出ているんじゃないかと思います」
正社員:「そうっすね。きっと」
呂布:「漢さんが出るだけで大会に箔がつきますからね。漢さんに勝った若いヤツが地元に帰って、『お前、漢さん倒したんだな』と言われて人気が出ることには価値があると思うし。だから漢さんのバトルに対するスタンスは俺にはスゴくわかる気がしますね」
<構成/古澤誠一郎>
【MC正社員】
戦極MCBATTLE主催。自らもラッパーとしてバトルに参戦していたが、運営を中心に活動するようになり、現在のフリースタイルブームの土台を築く
【呂布カルマ】
ヒップホップMC。愛知県名古屋市を拠点に活動。JET CITY PEOPLE代表。最新シングルは4月リリースの『SAMSAVANNA』。リリースや出演の情報はTwitterアカウント
@Yakamashiwaで配信中