正社員:「しかも呂布さんって、『フリースタイルダンジョン』にチャレンジャーで出たのもだいぶあとですよね。そのチャンスも活かしてカマして、今はモンスターとして番組に出演していて、そのなかでも最強クラスの存在で。これってスゴいことだなと思いますよ。だって呂布さんとか
DOTAMAさんは、いわゆるヒップホップの『YO!チャケラ!』みたいな感じではまったくないじゃないですか。この世界で異質だった人間が、徐々にメインストリートに出ていって、自分の才能を生かして勝ち上がっていっていった話なんですよね」
呂布:「俺もDOTAMAも、吉田くん(MC正社員)もそうですけど、
似ている人がいないっていうのは強みですよね。それって、本当はプロとして最低限のことで。『個性がスゴいですよね』って言われますけど、個性がないヤツはそもそもダメだと思うし。DOTAMAにしろ僕にしろ吉田くんにしろ、10年続けてその個性が少しずつ認められて、今やっと形になってきただけで。だから
スタイルにはよし悪しって多分なくて、どんなスタイルでも完成度さえ高まれば、それでメシくらいは食えるんだなと思いますね。それはDOTAMAを見ていても思います」
――でも完成度を高めるにはやっぱり10年くらいは必要なんですね。
呂布:「かかりますね。早く売れようと思ったら、その時期に人気のスタイルを上手にマネするのが手っ取り早いんですよ。でもそれは競争率もすげー高いだろうし、売れ始めたときはよくても、続けていくのは楽しくないと思うし。ひとつ結果を出したあとで、『また別の売れてるスタイルを研究してマネしよう』って、多分やってられないと思うんですよ。
長く続けようと思ったら、やっぱり自分のスタイルを完成に近づけることが、結局は近道なのかなと思います」
――呂布さんはもうMCバトルには賞金を稼ぐ意識でも出ていないんですか?
呂布:「去年のKING OF KINGSで優勝して、とりあえずソロでバトルをすることでは上がるところまで上がった感覚がありますし、あまり積極的に出るモチベーションはないですね。賞金の100万円はデカいですけど、別にそれくらは普通にライブしていても稼げる額だし。『恩返し』というとおこがましいですけど、戦極とかUMBとかお世話になってきた大会には、出てよと言われたら断ることはないし。あと自分がKING OF KINGSの
王者として出場して、そこで若いヤツに負けたら、そいつにプロップスがつくじゃないですか。そうやって
自分が得てきたものをシーンに還元して、結果的に人気者が増えることは、僕が勝ったプロップスを持ち逃げするよりいいことだと思うし。なので究極を言うと、今の僕は負けるために出ているというか。全然もう私利私欲では出てないです」
――今の自分の立場で、出場してシーンの役に立つことがあると思うからこそ、出続けているわけですね。
呂布:「勝ったら勝ったでカネをもらえるし、負けたら負けたで別にそれはそれでいいという感じですね。だから、『
お前はもう優勝したんだからこんなところ出てくるな』とか言われると、『
こいつマジでわかってないな』と思いますね。昨日のバトルでも言われましたけど」
正社員:「戦極BATLLE TOWER(今年3月2日に開催)のオファーのときに、『俺はこれからは負けるのが仕事だと思うよ』と呂布さんに言われて、『何でそんなこと言うんですか!』と驚いたんですけど、その考え方と行動ってメチャクチャ凄いことなんですよ。MCバトルの世界では、地方の予選で優勝したあとで『来年はもう出ません』みたいに言う人もいるし。MCは優勝したらもう負けたくないんです」