野球嫌いを増やす、少年野球の過酷な実態

少年野球イメージ

Graphs/pixta

未来の球界を支える子どもたちを壊す少年野球の環境

 ’18年のプロ野球観客動員数は250万人を超え、実数発表を始めた’05年以降では過去最高を記録。しかし、未来の球界を支える少年たちをとりまく環境はあまり芳しくないようだ。  少年野球で特に問題視され、早急に改善しなければならないとされているのは、選手である子供の肘や肩を酷使せざるを得ない状況だという。野球ライターの菊地高弘氏に話を聞いた。 「少年野球は昔に比べて試合数が増加しました。基本的にどのチームでもうまい子が1人で投げ続けるので、ケガのリスクは高まります。大抵の子供はマウンド上で『まだ行けるか?』と聞かれたら、『行けます』と言ってしまうものなのです。強制的に球数を区切ることが必要だと思います」

球数で降板してもポジション変更するだけ

 だが、いかに野球に熱心でも相手はまだ子供。結果、少年野球界では球数制限が導入されることになったものの、降板後にほかのポジションに移ることも少年野球では珍しくはない。そのため、球数制限で降板後にさらに“投球”してしまうケースも。また、「熱心な親問題」もあるという。 「のびのび野球を楽しむチームに入っても、負け続けると親が『厳しくしないと勝てないから、厳しく指導を!』という矛盾した発想になります。そして親が熱心になり子供に負担を与えるのです」
次のページ
移籍したら試合に出られない?
1
2
ハッシュタグ
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会