「買春願望」発言の丸山議員と、「買春可能バー」に案内された桜田前オリパラ大臣――与野党で違った外務省の対応

桜田氏が名誉棄損で勝訴も、売春可能なバーに行ったという事実は認められた

鈴木宗男氏

北方領土返還に長年取り組んできた鈴木宗男・新党大地代表

 この新聞記事では議員名を伏せられていたが、『週刊新潮』は2002年4月25日号で「『鈴木宗男団長』サハリン訪問議員団の『買春』疑惑話」と銘打った記事で実名報道をしたため、桜田氏は「名誉を傷つけられた」と提訴。2004年3月23日に東京地裁は新潮社に100万円の支払いを命じた。 「買春が真実であるとも、真実であると信じた十分な理由もない」と認定したためだが、同時に桜田氏が「自ら疑惑をもたれるような行動をした」とも指摘した。これに対し、『週刊新潮』編集部は「『疑惑を持たれる行動』と認定しながら、主張が受け入れられず残念だ」(2004年3月23日配信の毎日新聞)とコメントした。  裁判所は、買春可能なバーに案内されたという事実は認めたものの、買春をしたことが真実か真実相当かを新潮社が立証できなかったために桜田氏の勝訴にしたということだ。

外務省職員は、与党議員は案内するが野党議員は案内しない!?

 だが、『週刊文春』や『週刊新潮』による「買春願望発言」で丸山氏批判のボルテージがさらに高まっていくなか、外務省職員に買春可能なバーに案内されたことが報道されながらも名誉毀損裁判で勝訴し、オリパラ大臣にまで登り詰めた桜田氏との違いに愕然とする。  本音丸出しの「買春願望」を口にした丸山氏はもちろん問題外だが、胸に秘めた買春願望を“忖度”したであろう外務官僚に連れられて、買春可能なバーに行った桜田氏ら自民党国会議員。それらを見比べた場合、どちらがより厳しい社会的批判を受ける行動をしたといえるのだろうか。  先の『北海道新聞』の記事は「買春の手配などの『特別な便宜供与』は、同省が内規で定める外遊議員らに対する便宜供与基準を逸脱しているうえ、半ば常態化しているとされ、同省の改革論議にも影響を与えそうだ」という問題提起をしていた。桜田氏と丸山氏とを比較すると、与野党議員で外務省の対応に大きな違いがあることがわかる。
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丸山議員暴走の背景に外務省の「与野党差別的対応」!?
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