移動中の車内で30代前半の男性ドライバーへ話と聞くと、お客は1日25人くらい。渋滞エリアへの利用者が多い日でも20人ほどを乗せる。利用する客は、日本人、中国人、韓国人、台湾人、マレーシア人、タイ人、もちろん、フィリピン人もいるらしく特にどこの国が多いというわけではなく国籍はバラバラのようだ。
彼は元々はシステムエンジニアだったそうだが、グラブからの報酬が月給を越えたので、今はグラブの仕事中心へと切り替えたという。
外国人にとってマニラのタクシーはストレスが貯まると愚痴をこぼすと、「中にはいいタクシーもあるんだけど…ね、フィリピン人でも夜間のタクシー利用は怖いことがある」と話す。
グラブは、フィリピン政府の後押しがあるのか、マニラ空港の各ターミナルには緑と白抜きの目立つ看板でグラブ専用の停車場があり、そこでマッチングした車を待ったり、またはアプリをインストールしていなくても、日本の携帯番号を伝えるだけで常駐するスタッフが手配してくれる。完全にクポーンタクシー状態だ。スタッフに手配してもらった場合は、事前に料金を書いた紙を受け取り、現金での支払いとなる。手配料やチップは不要。
マニラ空港T3に設置されているグラブカウンター
今月13日に行われたドゥテルテ大統領の信任を問う国政、地方選挙の結果、大統領支持派が勝利し、フィリピン国民はドゥテルテ政権の政策継続を支持したことになる。
選挙前に掲示されていた選挙ポスター
ドゥテルテ大統領のさまざまな負の側面はさておき、いち外国人として感じるのは、治安の目に見える改善。17年前、「リアル北斗の拳」と称されていた初フィリピンのときと比べても危険な目に巻き込まれるリスクはかなり減ったと思う。
もし、今でも拳銃を使った強盗や殺人などが多発する治安状況のままであれば、一般人が運転するグラブタクシーを利用することはかなり勇気がいる選択となるだろう。
これを見るとフィリピンにいると実感する
フィリピン政府は、グラブの浸透とともに悪徳タクシーの撲滅、サービスレベルの底上げを狙っているのかもしれない。いずれにしても短期滞在者にとっては非常に歓迎すべき傾向だ。
<取材・文・撮影/我妻伊都(Twitter ID:@
Ito_Wagatsuma)>