Googleは、多くのサービスを無料で提供している。その
対価はプライバシーだ。
自分がネット上でどのような活動をしたのか。誰とやり取りしたのか。何を買ったのか。何を話したのか。どこに行ったのか。どこに住んでいるのか。どういった経路を移動しているのか。そうした情報をマネタイズできるからこそ、Googleはそれらのサービスを無料で提供している。
そしてGoogleは、そうした情報を収集していることを、あまり積極的にユーザーに周知していない。
ヘルプに書いてあるのだから公表している。利用規約に書いてあるから同意を得ている。そうしたスタンスだ。
Googleは営利企業だ。無償で何かを提供しろというのは筋違いだ。しかし、どういった個人情報を集めて活用しているのかは、もっと分かりやすく伝えるべきではないか。なぜならば、こうした情報は流出の恐れがあるものだからだ。
個人情報を集めるサービスでは、それらの情報は遅かれ早かれ漏れるものと思った方がよい。どれだけ鉄壁のセキュリティを謳っていても、凡ミスや想定外の挙動で情報が外部に出てしまうことがある。そして、個々の情報は価値が低くても、意味のあるデータとしてまとめられていると致命的なこともある。
長年にわたった購入履歴。日々利用している通学、通勤経路。そうしたデータが流出した場合、人によっては大きな被害を受ける。ネット大手企業は「黙ってデータを出せ」というスタンスだろうが、そろそろこうした企業と個人の関係は改善が必要だと感じている。
◆シリーズ連載:ゲーム開発者が見たギークニュース
<文/柳井政和>
やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『
裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『
レトロゲームファクトリー』。