小沢一郎氏
「生活の党と山本太郎となかまたち」は、山本氏と小沢一郎氏が共同代表を務めていた政党だ。後に「自由党」となり、さらに後に国民民主党と合流。山本氏は合流に加わらず新党「れいわ新選組」を立ち上げた。
後藤氏が指摘したワールドメイトからの2000万円の寄附は、
平成26年(2014年)分の「生活の党と山本太郎となかまたち」の収支報告書に記載されていたものだ。同党は
「自由党」となった後の平成29年(2017年)にも、ワールドメイトから2000万円の寄附を受けている。
いずれの時期も山本氏は小沢氏とともに共同代表を務めていたが、
届け出上の代表者は小沢氏。そして、それぞれの議員に関連するほかの政治資金収支報告書とつきあわせて見ると、ワールドメイトとのつながりが見て取れるのは明らかに、山本氏ではなく小沢氏の方だ。
ワールドメイトが「生活の党と山本太郎となかまたち」に2000万円を寄附した平成26年分から、公表されている最新分の平成29年分までの収支報告書をまとめると、こうなる。
まず山本氏が関連する政治団体は、新党「れいわ新選組」を含めて4つ。れいわ新選組は今年結成されたもので政治資金収支報告書はまだ公表されていない。残り3つは、
「新党ひとりひとり」「山本太郎となかまたち」「Taro’s NETWORK」だが、いずれも平成26~29年分の政治資金収支報告書に「ワールドメイト」の文字はない(新党ひとりひとりについては平成26年分が入手できず未確認)。教祖・深見東州氏の本名である
「半田晴久」名義での寄附もない。
一方、小沢氏については、
小沢一郎政経研究会が平成26年に300万円、27年に400万円、28年と29年にそれぞれ300万円、計1300万円を政治資金パーティー代としてワールドメイトから受け取っている。同研究会の年間収入は約2200~3300万円。おおまかに1割程度、年によってはそれ以上が「ワールドメイトの金」で成り立っている政治団体だ。
これだけではない。小沢氏は、半田氏が「所長」を務めるコンサルタント会社
「菱(びし)法律経済政治研究所」で顧問を務めている(同じく顧問に亀井静香氏もいる)。2012年には毎日新聞が、小沢氏が同社から受け取っている顧問料は毎月200万円と報じている。
小沢氏は例年、半田氏の誕生祝いのイベントである
「深見東州・バースデー書画展」に祝花を贈っているほか、たとえば半田氏が実行委員長を務めた2013年の
「スポーツ平和サミット東京大会」にも花を贈っていることが確認されている。
こうした関係は小沢氏に限ったことではない。ワールドメイトや半田氏は
与野党問わず多くの政治家、政治団体と関わりを持ち、政治資金収支報告書で確認できるだけでもかなり広範囲に金をばらまいている。
前出の「スポーツ平和サミット東京大会」にも複数の政治家の名前が登場する。
当時の猪瀬直樹都知事や下村博文文科相が会場で挨拶に立った。
鳩山邦夫・衆議院議員は挨拶で「(実行委員長の)半田先生は、国会議員の1万倍の実行力をお持ちの天才!です」と半田氏を持ち上げたことを、当時「ワールドメイトみんないらっしゃい支部エンゼル会」(東京・杉並区)がブログで報告していた。このとき
安倍晋三首相は花と祝電を贈っている。
山本氏がワールドメイトから献金を受けているかのように語る
日本母親連盟関係者のTwitter投稿は
明らかなデマだ。仮に、ワールドメイトから献金を受けた党で山本氏が共同代表だったことについて道義的責任を問うなら、まだ理屈は通る。しかしそれでもなお、ワールドメイトと直接の関わりが確認できない山本氏をあえてことさらに取り上げる意味はないし、フェアでもない。
もっと親しい関係にある政治家たちが他に山ほどいるのだ。