photo by Aurelijus Valeiša via flickr (CC BY 2.0)
巨大企業となった「インディテックス」の旗艦「ZARA」
5月8日、ZARAを擁するインディテックスは、イタリアのパスタブランド相手に、ある裁判で逆転勝訴を勝ち得た。
その訴訟とは、インディテックスの旗艦的ブランドである「ZARA」の商標を守り、他業界において同一ブランドや類似のブランドが市場に現れて消費者が混同することを回避するための戦いである。
ちなみに、アマンシオ・オルテガが最初の1号店を開設する時に店の名前を付けるのに、先ず最初に思い浮かんだ名前は、メキシコ生まれのハリウッドスター、アンソニー・クインが1964年にギリシャ人に扮した映画で演じた役にちなんだ「ZORBA」というものでだった。オルテガはその名前が気に入って、それを店の名前にしようと考えたのだ。ところが、同じ通りあったカフェテリアがその名前を既に付けていた。そこでオルテガがZORBAの各アルファベットから急遽思いついたのがZARAという名前であったということなのである。だから将来のマーケテイングを意識してつけたブランドではないということ。偶然の賜物なのである。(参照:「
rolloid」、「
JANNE IN WONDERLAND」)
ZARAが自社ブランドを守る為の行動に出た最近の出来事としては、イタリアのブランド「
Pasta ZARA 」というFfauf Italia社が生産しているパスタとの一悶着がある。
問題が表面化したのは2010年にZARAの親会社インディテックスが食料品の販売とレストランにもZARAブランドを商標登録しようとした時である。それにFfauf Italia社がそれに反対したのである。反対した理由は、仮にZARAが食品をZARAブランドで市場に出すとPasta ZARAとで消費者を混同させることになるという考えからであった。欧州連合の知的財産特許庁(EUIPO)もFfauf Italia社の言い分を認めた。
それを不服として、インディテックスは欧州連合司法裁判所(EUJT)に提訴した。5月8日、その判決が下り、Ffauf Italia社の言い分を認めたEUIPOの判決を無効とし、数か月以内の再審査を要求したのである。EUJTがEUIPOの判決を無効とした理由は、判決に至った結論が誤ったもので、しかも不明瞭であるとし、Ffauf Italia社が提出した書類内容も同社の商標を守る有効性において疑問の余地ありとしたのである。
一方、インディテックス側は、果物、野菜などの食品、米、穀物、更にジュースなどを含めた一般販売やネットそしてカタログによる販売及びレストラン、カフェテリアなどのサービスの為のZARAの商標登録をすることが許可されたのである。ただ、これは飽くまでこれらの業界でZARAブランドが現れることを避ける為のもので、インディテックスが食品業界や飲食業界に進出する可能性はほぼゼロである。(参照:「
MODAES」、「
El Confidencial」)