タイで77歳日本人男性が幼児へのわいせつ容疑で逮捕。年々下落する日本人観光客の評判

人身売買の暗い歴史を持つタイ

 タイは南国のイメージから、様々な事柄が緩い国だと思われがちだが、飲食店、特にバーなどの営業時間のほか、アルコールやタバコですら販売規則などが厳しい。麻薬に関しては言わずもがなであり、売春も強制的に従事させていた場合は管理者は死刑や終身刑にもなる。特に未成年者への性的な行為は東南アジアの中でもタイは厳しい部類に入る。  タイは1990年代、あるいはそれ以前に人身売買の問題があった。地方の貧しい農村では子どもをわずかな金額で売ることが少なくなかった。ときには性的なサービスを行う施設で働かされる子どももいただろう。  以前のタイの刑法では13歳未満とそれ以上で分けられていたが、現在は15歳未満に引き上げられている。日本における法律では、刑法第176条で「13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」となっている。ほかにも各県で定める青少年保護育成条例や児童福祉法で未成年者との淫行などに関して処罰が定められている。  日本の青少年保護育成条例の処罰規定は各都道府県で違うが、最大でも2年以下の懲役、または100万円以下の罰金となっている。年齢の規定や刑罰を見ても、日本よりもタイの方が厳しい。

日本人に限らず、モラルのない外国人観光客

 しかし、現実的にタイは性風俗産業が盛んで、それを目当てにした外国人観光客も多い。こういった遊び場を割り切って利用しているならまだいいが、中にはタイ人女性がすべて売春に関わっていると勘違いする大馬鹿者もいる。そういった中で元々ペドフィリア(小児性愛者)なのかモラルが欠如していたのか、それとも開放感で訳がわからなくなってしまうのか、I容疑者のように女児に限らず、一般女性に対してわいせつ行為などをしてしまう外国人もいる。  海外で「日本の恥」とならぬよう、モラルある行動を願いたいものだ。 <取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:@NatureNENEAM)> たかだたねおみ●タイ在住のライター。近著『バンコクアソビ』(イースト・プレス)
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会