<5問目>
「狭義の強制(官憲による強制連行)は無かった」という答弁を繰り返す安倍総理に対して、小川議員は5~7問目で実に3問続けて、「どのような強制があったのか」という観点で質問していく。
小川議員:
「一度確認しますがね、そうすると、家に乗り込んで無理やり連れてきてしまったような強制はなかったと。じゃ、どういう強制はあったと総理は認識されているんですか。」
安倍総理:
「
この国会の場でですね、こういう議論を延々とするのが私は余り生産的だとは思いませんけれども、あえて申し上げますが、いわば、これは昨年の国会でも申し上げましたように、そのときの経済状況というものがあったわけでございます。ご本人が進んでそういう道に進もうと思った方は恐らくおられなかったんだろうとこのように思います。また、間に入った業者がですね、事実上強制をしていたというケースもあったということでございます。そういう意味において広義の解釈においてのですね、強制性があったということではないでしょうか。(青信号)」
広義の強制(経済状況による事実上の強制、業者による事実上の強制)はあったと回答しており、
青信号とした。
<6問目>
小川議員:
「それは業者が強制したんであって国が強制したんではないという総理のご認識ですか。」
安倍総理:
「
これについては先ほど申し上げましたように、いわば乗り込んでいってですね、人を人さらいのように連れてくるというような強制はなかったということではないかと、このように思います。(赤信号)」
論点すり替えが行われており、
赤信号とした。
小川議員の質問:「国」は強制してない(=広義の強制)という認識か
↓すり替え
安倍総理の答弁:人さらいのような強制(=狭義の強制)の有無
直前の5問目で
安倍総理が回答した広義の強制(経済状況による事実上の強制、業者による事実上の強制)について小川議員は質問したにも関わらず、回答内容はまたも狭義の強制(官憲による強制連行)に戻っている。
<7問目>
小川議員:
「だから総理、私は聞いているじゃないですか。家に乗り込んで連れていってしまうような強制はなかったと。じゃ、どういう強制があったんですかと聞いているわけですよ。」
安倍総理:
「
もう既にそれは河野談話に書いてあるとおりであります。
それを何回もですね、小川委員がどういう思惑があってここでそれを取り上げられているかということは私はよく分からないわけでありますが、今まさにアメリカでそういう決議が話題になっているわけでございますが、そこにはですね、やはり事実誤認があるというのが私どもの立場でございます。(赤信号)」
1段落目は
事実上の回答拒否であり、
赤信号とした。
続く2段落目は論点すり替えが行われており、こちらも
赤信号。
小川議員の質問:どのような強制があったか
↓すり替え
安倍総理の答弁:米国議会の決議
以上、8問目以降の信号分析は
後編でさらに紹介していきたい。
<文・図版・動画作成/犬飼淳 TwitterID/
@jun21101016>
いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。最近は「赤黄青で国会ウォッチ」と題して、Youtube動画で国会答弁の視覚化に取り組む。
犬飼淳氏の(
note)では数多くの答弁を「信号無視話法」などを駆使して視覚化している。また、同様にYouTubeチャンネル(
日本語版/
英語版)でも国会答弁の視覚化を行い、全世界に向けて発信している