Synspectiveの衛星StriX-αを打ち上げる、アリアンスペースのロケット「ヴェガ」 (C) Arianespace
こうした衛星から地表を撮影するビジネスは、折からの小型衛星ブームもあり、またロケット開発などと比べると参入障壁が比較的低いこともあって、世界中でさまざまな企業が参入し、すでに衛星を打ち上げている企業も多い。他国で有名なところでは、米国の「Planet」や「Blacksky Global」、カナダの「UrtheCast」、フィンランドの「ICEYE」などがある。
その中で、日本企業は大きな存在感を放ち、世界的な評価も高い。
たとえば、光学センサー衛星の分野では、「アクセルスペース」がある。同社は2008年に創設され、すでに10年を迎えた、もはやベンチャーとは呼べないほどの企業である。これまでに他社が運用する衛星の開発、製造を手がけてきたほか、2018年12月27日には、自社で運用する「GRUS」衛星の打ち上げに成功。同社では今後、2022年までに数十機のGRUSを打ち上げ、地球全体を毎日観測するインフラ「AxelGlobe」の構築を目指している。
SAR衛星の分野では、前述したICEYEが、2018年1月に最初の衛星を打ち上げ、すでにデータの提供を開始している。そして日本でも、今回取り上げたSynspectiveをはじめ、九州の「QPS研究所」も参入しつつあり、今後競争が激化しそうである。
国も、2017年に地球観測データの取扱い方法などを定めた法律「衛星リモセン法」を施行するなど、民間が参入するためのルールを整えている。さらに、日本の宇宙産業全体の市場規模拡大を目標とした「宇宙産業ビジョン2030」を策定し、さまざまな形で宇宙産業の促進を図っている。
これからこの分野における日本の存在感はどうなっていくのか、そして宇宙ビッグデータでビジネスや私たちの生活がどう変わっていくのかに要注目である。
SAR衛星の分野で、すでに衛星を打ち上げるなどして優位性をもつ、フィンランドのICEYEの衛星の想像図 (C) ICEYE
<文/鳥嶋真也>
宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)があるほか、月刊『軍事研究』誌などでも記事を執筆。
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【参考】
・
Arianespace to launch “SAR” satellite StriX-α aboard Vega for Japanese startup company Synspective – Arianespace
・
Synspective – Small SAR satellite constellation x Big Data x Machine Learning
・
Satellite Data – ICEYE – Every Square Meter, Every Hour
・
iQPS Inc.