クルド人少女のイジメ問題、卒業しても解決はしていない

まだクルド人の子どもたちへのイジメ問題は解決していない

5bc9b630b56a3486236214d661cda84e_m 川口市教育委員会はこの学校側の発言に対し「被害者が納得していないのに、丁寧とは言えない」とはっきり異議を示した。  とはいえ、学校にも若干の変化が起こっている。新学期から教頭も変わり、良くなったとの評判ではある。学校関係者の話によると、教頭に加えて、イジメ問題解決に熱心な先生も赴任して来たとの情報も入っている。しかしこれは単なる人事異動であって、今回の問題とは特に関係がないようだ。  まだこの学校に在籍中の少女の妹や、他のクルドの子どもたちはいまだにイジメに悩まされている。「もう疲れた」「学校に行きたくない」「先生が信じられない」と言っている子もいる。根本的な解決はまだまだ遠い。  卒業したクルド人少女は、小学校のクラスメートたちとは違う中学校へ、自転車で通っている。友達もたくさんできて、いまのところ中学生活を楽しく満喫できているようだ。  教育委員会も、中学校で新生活を過ごす少女を見守り、支えていくと約束した。そしてまずは教員たちの指導から始めていくとのことだ。ようやく教育委員会も本腰を入れて動き出したかのようにも見える。

受けた傷は、癒えることはない

少女の近況

筆者と、少女の妹が交わしたメッセージ。現在の中学では、友だちがたくさんできたようだ

 少女は、今回メディアに立て続けで出た件で、ずっとインタビューに答え続けて、だいぶ疲れてしまったようだ。とはいえ、自分の言葉で世の中にメッセージを発信できたことは、少しは良かったと思えたようだが、少女の傷は癒えることはない。 「受けた傷は、もう治らないから……」  と、寂しそうな表情で少女は語った。  この問題は大きく世間に広まり、多くの人に課題を残すことができた。どうか大人は、助けを求める子供たちの小さな声を無視せず、拾い上げていってほしい。 <文/織田朝日>
おだあさひ●Twitter ID:@freeasahi。外国人支援団体「編む夢企画」主宰。著書に『となりの難民――日本が認めない99%の人たちのSOS』(旬報社)など。入管収容所の実態をマンガで描いた『ある日の入管』(扶桑社)を2月28日に上梓。
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