萩生田幹事長代行(安倍総理の後)が「消費税延期もあり得る」と姑息な観測気球を上げ始めた(写真/時事通信社)
安倍晋三よ! 「消費増税の延期」という野党の政策を盗むな!
先週も触れたように、山本太郎が新たに立ち上げた政治団体「れいわ新選組」が掲げる目玉政策の一つは、消費税撤廃だ。
この字面だけ見れば「言うは易し行うは難し」の典型だと思うのも仕方ない。しかし、山本太郎が挙げる消費税撤廃公約の面白さは、そのロジックの根拠となるエビデンスが、思いつきや思い込みによるものではなく、すべて、政府の公式発表数値だという点にある。
平成元年に消費税が導入されて以降、消費税で獲得したはずの財源が、財政健全化に寄与した形跡が一切ないこと。消費増税の大義名分であったはずの社会保障関連予算に消費税で獲得したはずの財源が活用されていないこと。それどころか、平成の30年の間、消費税は上がり続け、一方で賃金は伸び悩んでいるのだから、消費税には実質賃金の低下要因としての機能しかないこと……などなど、山本太郎はこれらのことをすべて政府発表の数字を根拠にシャープなロジックを構築し、雄弁に訴えているのだ。
と、ここまで山本太郎を褒めちぎるのであれば、ここで公正を期さねばならない。山本太郎が消費税撤廃を政策として掲げており、直前に迫った参院選においては、直前に迫っているという時間的制約に立脚して「まずは、消費増税の延期」を公約に選挙戦を戦うのは事実だ。しかし、「消費増税の延期」という主張は、山本太郎の専売特許では決してない。
今年の通常国会では、統計偽装問題などで霞みがちであったが、「消費税をなにがなんでも10%に上げる」と主張する安倍政権に対し、野党各党は、「そんなの無理でしょ。増税延期しましょうよ」と、指摘し続けてきた。それにもかかわらず、政権側は、増税対策を盛り込んだ予算案を強行採決したのだ。この点を忘れてはいけない。
今一度、整理しよう。今の時点に至るまで「なにがなんでも消費増税」の立場を堅持するのは政権与党だけ。野党各党は「消費増税延期」で足並みが揃っている。