しかし、首都圏に住む多くのビジネスマンは、このやる気を高める時間帯に満員電車や渋滞によって、やる気を高めるのを阻害されているのではないかと筆者は考える。この2時間を、ストレスなくやる気を高めるために使いたいならば、少し早めに近くのカフェで本や新聞を読むのも有効だろう。
ちなみに、本研究で10:00~21:00までは、やる気を維持できるが、21:00から就寝時間までにかけて、人間のやる気が一気に下がっていくこともわかっている。集中して仕事をするならば、21:00までとしておきたい。
睡眠時間においても、最適な睡眠時間は8時間前後と言われてるなかで、日本人の平均睡眠時間は7時間と短い。パフォーマンスを高めるためには、十分な睡眠が重要だ。
8時間は一種の目安であり、自分にとって最適な睡眠時間や起床タイミングを特定する必要がある。筆者はApple Watchの睡眠トラッキングを使って、睡眠の質や最適な起床時間についてデータを収集して、生活習慣を見直している。
そもそも、ショート・スリーパーは遺伝的なものであり、全人口で1%しか存在せず、トレーニングで身につくものではないという研究結果がある。昔からショートスリーパーの人はそれが当たり前であり、「俺は3時間しか寝なくていいんだ」と自慢する人は、間違いなく慢性的な寝不足でパフォーマンスが低い。慢性的な睡眠不足は、感情的になったり集中力や生産性が下がる可能性が高いのだ。
長時間起きられるよりも、限られた時間のなかでハイパフォーマンスで働いて、倒れこむように就寝するほうが心の健康にも生産性面においても健全ではないだろうか。
ここまでの実験結果をまとめると、以下の生活リズムが最適だと考えられる。
08:00 起床
10:00 始業
18:00 終業(遅くても21:00)
00:00 就寝
あなたの生活習慣はどうだろうか?
今後、AIが進化していくなかで、生産性やクリエイティビティが求められるようになる。そのときに、今の働き方が本当に脳にとって最適なのかは考え直す必要がある。
フルフレックス制度や在宅勤務が適用されている職場なら、満足するまで寝るのではなく、脳に合わせた働き方に関する情報を得て実践していただきたい。
【参考資料】
『When Should We Start Work? Circadian Sociology Analysis of the Conflict Between Biological and Social Time』Paul Kelley
【山本マサヤ】
心理戦略コンサルタント。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催。これまで数百人に対して仕事やプライベートで使える心理学のテクニックについてレクチャーしてきた。また、メンタリズムという心理学とマジックを融合した心理誘導や読心術のエンターテインメントショーも行う。クラウドワークスの「トップランナー100人」、Amebaが認定する芸能人・著名インフルエンサー100人に選出。
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