北朝鮮の「経済特区」、羅先が観光開発に注力。日本人向けのSL乗車ツアーも

鉄道マニアには見逃せない「オプション」も

 さらに鉄オタ注目の特別オプションとして、SL(蒸気機関車)乗車が日本人向けにもスタートする。“にも”と書いたのは、実は、ヨーロッパ人向けには2013年から不定期に開催されているからだ。  ある日本人鉄道マニアが、「チュチェトラベル」(イギリス)主催の北朝鮮SL乗車ツアーの募集サイトを探し出し日本人も利用できないのかとの問い合わせがきっかけで確認が進み乗車許可がこの3月に正式に出されたものだ。
チュチェトラベルのサイト

英チュチェトラベルのサイト

 この特別オプションには、乗り鉄向けのSL乗車と撮り鉄向けのSL撮影の2つ楽しみ方をから選べるらしく、乗車は、羅先南方の清津から鏡城までの片道40分ほどの往復となるという。  北朝鮮には戦前の朝鮮鉄道株式会社(朝鉄)時代のSLが現存しているが、すでに現役では走っておらず保管しているものを希望に応じて整備、点検して走らせるものだ。乗車できるSLは4両あるが、ここに朝鉄時代のSLが含まれているかは、鉄道知識に乏しい旅行会社では分からないとのこと。  問題は料金だ。車両を丸ごと貸し切るため高額になることは予想されるが、日本人向けツアー会社のサイトでは料金が伏せられているので、チュチェトラベルを参考にした想像になるが乗車した場合は1回3500ドル(約39万円)くらいだと思われる。相当人数を集めないと高い乗車賃となりそうだ。  チュチェトラベルは今年10月に乗車ツアーを企画しており、日本人でも参加できる。

今後注目を集めそうな「羅先」

 今月末に行われる金正恩委員長とプーチン大統領のロ朝会談がロシア極東のウラジオストクで開催される。もし、金委員長が鉄道でウラジオストクへ向かうのであれば、羅先駅、豆満江駅を経由することなり、鉄道移動によって羅先がさぞかし脚光を浴びるだろう。 <取材・文・写真/中野鷹(Twitter ID:@you_nakano2017
なかのよう●北朝鮮ライター・ジャーナリスト。中朝国境、貿易、北朝鮮旅行、北朝鮮の外国人向けイベントについての情報を発信。東南アジアにおける北朝鮮の動きもウォッチ。北レス訪問が趣味。 Twitter ID@you_nakano2017
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